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小原古邨展 [美術]

太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/ohara-koson
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小原古邨(1877~1945)は、明治末から大正、昭和にかけて活躍した花鳥画の絵師。とは言ってもほとんど忘れられていたらしい。この数年、渡辺省亭とか横山崋山とか、埋もれてしまった画家に光が当たるようになってきたのは嬉しい限り。

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「鵞鳥」(個人蔵)

古邨の作品はほとんどが花鳥や動物画。描く対象の特徴をよくとらえているけど、例えば若冲のようなみっちり描き込んだのではなく、ふんわりとした筆致があたたかく優しげ。色合いも水彩画のようで色数も少ないものも多いが、そこが品がよくて素敵だった。鳥も動物もなんだかみんな可愛い。

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「蓮に雀」

面白いのは昭和に入って渡邊庄三郎の元で版画を刊行するようになって、ガラッと絵の雰囲気が変わること。色数が多くなり、輪郭もはっきり。
と言うか渡邊庄三郎の刷る版画ってどれも似ている。吉田博も川瀬巴水も。古邨の版画も知らずに見たら巴水かと思うのがあった。原画より刷りの力が強いと言うことか。古邨自身はどう思っていたのか気になるところ。個人的には古邨は大正期の方が好き。

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「紫陽花に蜂」

前後期で総入れ替え。後期も行かなきゃ。


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ムーティ&シカゴ交響楽団 [音楽]

2月3日(日) 東京文化会館

チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調op.64
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」op.35

3年ぶりの来日。
今回のプログラムは3種。ヴェルディのレクイエム、ブラームスの1,2番。
ヴェルディは曲が苦手なのでパス、ムーティでブラームスかチャイコかと考えるとこちらのプログラムが魅力的。と言うことでこの日を選択。

チャイ5がまるでオペラのように歌に溢れ、各パートがメロディを紡いでいく。こんなにエモーショナルでエロティックささえ感じさせるチャイコフスキーは聴いたことがない。

シェヘラザードではもちろんオケのコンマス始め菅パートソロの名人芸がこれでもかと言うほどに披露される。(延々とアルペジオを弾くチェロトップにも感心ww)この艶やかさ、華麗さ。シェヘラザードの妖艶な物語が目の前で展開されるよう。
立ち上る香気に包まれるようなオケの饗宴にただただうっとり心奪われた至福の時間。

前回のコンビで初来日の時は荒馬を乗りこなす感じだったのがすっかり蜜月。ムーティもここへ来て腕に見合った手兵を得た感じかな。

ムーティは77歳と言うが全く歳を感じさせず相変わらずの若々しさ。かくしゃくなんていう言葉は似合わない。熟練の芸がますます深まる様子に今後がまだまだ期待される。4月の来日も楽しみ。

アンコールがあるとは思わなかったがジョルダーノの「フェドーラ」より間奏曲。甘美で上質なデザート。


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