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四月大歌舞伎・夜の部 [舞台]

歌舞伎座
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4月の歌舞伎座は、昼は菊五郎、夜は仁左衛門がそれぞれ悪の二役を演じる。
特に夜は仁左衛門が一世一代と銘打っての通し狂言。

通し狂言
絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)
立場の太平次

左枝大学之助/立場の太平次  仁左衛門
田代屋与兵衛   錦之助
田代屋娘お亀   孝太郎
孫七       坂東亀蔵
太平次女房お道  吉弥
お米       梅丸
番頭伝三     松之助
升法印      由次郎
関口多九郎    権十郎
田代屋後家おりよ  萬次郎
高橋瀬左衛門/高橋弥十郎   彌十郎
佐五右衛門   團蔵
うんざりお松/弥十郎妻皐月  時蔵

にざ様は同じ悪でも、武士で冷酷非道で血も涙もない背筋の凍りそうな悪人の大学と、無頼で同じく極悪人だが剽軽さもある太平次を見事に演じわけ。人を殺すことに快感を覚えていそうな大学と、蚊の命も人の命も同じ重さの太平次と。同じ真っ黒黒でもどこか色合いが違う。大学の方はいかにも暴君で自分の暴虐さを隠そうともせず、女ならずとも近寄りたくない。だが太平次は女房もお松も惚れているように、一見ヘラヘラと愛想よさげで可愛げある様子に見せておきながら、実は残虐。こっちの方が実は怖いんじゃないか。だがその笑顔が恐ろしくも魅力的。そこがさすが仁左衛門。

時蔵のお松が熟れた女の崩れた感じがありながら、嫌らしくならないのがこの人らしく上手い。
孝太郎のお亀も可愛げがあり与平衛大事の一途さがある。二人ともずっとこの役をやっているだけあって、手に入った様子で安定。

にざ様は別として、錦之助がいわば準主役として魅せる。優男のクズをやらせたら右に出る者はいない。錦ちゃんといえばクズ、クズといえば錦ちゃん様。

彌十郎が高橋瀬左衛門と弥十郞の兄弟二役。どうやらこの二役は同じ役者が務める慣例らしいがその必要あるのかな、と言う気も。いや、彌十郎は正義感ある瀬左衛門とその仇を討とうとする弟と誠実に務めていて不足はないが。

しかし、にざ様は確かに格好いいが、出る人出る人後でみんな死んじゃうのね~と思いながら見るのはいささか辛い。特に、亀蔵と梅丸夫婦のただ殺される(または殺させる)ためだけに特に必要もないのに出てきました、感は凄い。てか、盆が回って元に戻ったらまだ太平次の家にいて「アホか、さっさと逃げろや」と(怒)となったなど。

それにしてもにざ様ほとんど出ずっぱりだ。体力的にきついのはわかる。そんなそぶりも見せないけど。これが最後と仰るのも仕方ないか、とは思った。

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