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柿葺落四月大歌舞伎・昼の部 [舞台]

御園座

改築のため閉館していた名古屋の御園座。新装なっての杮落とし公演は高麗屋の襲名披露。

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経  市川 左團次
曽我五郎  中村 又五郎
曽我十郎  中村 鴈治郎
大磯の虎  中村 壱太郎
化粧坂少将 中村 米吉
梶原平次  中村 吉之丞
梶原平三  中村 寿治郎
八幡三郎  中村 種之助
近江小藤太 中村 歌昇
小林妹舞鶴   市川 高麗蔵
鬼王新左衛門   大谷 友右衛門

新装オープンの幕開きにしてはやや地味な顔触れと思わないでもないが、演目としては華やかで祝祭感もあっていい。
又五郎の五郎は、数年前の自身の襲名の時もこの御園座で演じた役で、似合いの役でもあり、感慨もひとしお。
鴈治郞の十郎というのはちょっと意外な配役だが、上方和事の味はさすがにあっておっとりとした様子。
(とはいえ、福々しい兄弟だな)
左團次の工藤が、ちょっと悪役味があるが貫禄もありまずまず。
壱太郎と米吉が初々しくも綺麗で華を添える。
高麗蔵の舞鶴が堂々として立派。

 二代目松本白 鸚
二、十代目松本幸四郎 襲名披露 口上(こうじょう)

幸四郎改め松本 白鸚
染五郎改め松本 幸四郎
坂田 藤十郎
幹部俳優出演
今回も仕切りは藤十郎。
1月の歌舞伎座での口上よりは人数も少なくアットホームな雰囲気。左團次の口上も内容は1月と同じ。吉右衛門が身内とも親戚とも言わないのも同じ(苦笑)。今月は出演していない染五郎のことを歌六さんが「噂の美少年」といったりしたのが面白かった。

三世河竹新七 作
三、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)
序幕
大詰 吉原仲之町見染の場より
立花屋二階の場まで
佐野次郎左衛門  染五郎改め松本 幸四郎
兵庫屋八ツ橋   中村 雀右衛門
下男治六     中村 又五郎
兵庫屋九重    市川 高麗蔵
兵庫屋七越    澤村 宗之助
兵庫屋初菊    中村 米吉
若い者与助    大谷 廣太郎
絹商人丈助    中村 吉之丞
絹商人丹兵衛   嵐 橘三郎
釣鐘権八     松本 錦吾
繁山栄之丞    中村 歌六
立花屋女房おきつ   片岡 秀太郎
立花屋長兵衛   幸四郎改め松本 白鸚

叔父も父も持ち役にしてる演目だから不思議はないのだが、新幸四郎が佐野次郎をやると聞いたときは正直驚いた。二枚目の幸四郎がねえ。いや、父も二枚目だけど、とてもニンじゃなさそうで。

播磨屋の佐野次郎が分別盛りのいい大人が突然沼にはまった恐さとすれば、幸四郎のは男盛りの未熟な男の純愛が踏みにじられた痛々しさのようなものがあり、「惚れた」と言うより「恋に落ちた」みたいな青い苦さを感じて胸が痛い。ただ、次郎左衛門の容姿から来るコンプレックスなどのほの暗い心の闇はまだ感じられず、そのあたりは今後に期待。最後の殺しの場はキレッキレ。

一方、こちらも初役の雀右衛門八ツ橋も儚げで、縁切りの消え入りそうな姿の哀れさが透き通るようで、苦界に生きる女の悲しみが切々。間夫と上客の間で計算なんてできない優しい気立てが裏目に出た、というような。清新な八ツ橋。
不思議とお父さんより歌右衛門の台詞回しに似て聞こえるところがあった(ヴィデオでしか見たことないからいい加減だけど)。全体に受けるイメージは大成駒とは全然違うんだけどね。

歌六の栄之丞!白塗り二枚目のかっこいい~大人の色気。でも歌六さんだと何となく「身請けされた方がお前のためだよ」とか言ってくれそう(^_^;)

秀太郎の女将が絶品。商売人らしい計算高さがありながらも筋を通す花街の女将の粋さと情のこまやかさ。
又五郎、橘三郎ら回りはチーム播磨屋で鉄板。脇に支えられての幸四郎の佐野次郎初演。これから回を重ねて自分のものにしていくのだろう。


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