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国立劇場3月歌舞伎公演 [舞台]

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3月の国立は、鴈治郞と菊之助がそれぞれ家の芸に初役で挑んだ。

一・増補忠臣蔵(ゾウホチュウシングラ)
本蔵下屋敷

桃井若狭之助 = 中村鴈治郎(4代目)
三千歳姫 = 中村梅枝(4代目)
井浪伴左衛門 = 市村橘太郎
加古川本蔵 = 片岡亀蔵(4代目)

文楽では何度か観たことがあったが、そういえば歌舞伎ではやらないな。まあ、やらない理由は明らかで、どうにも凡作の域を出ないのだが。

鴈治郎は役者ぶりが大きくなった。こういうお殿様もしっくりくる。
亀蔵の本蔵も渋さを見せる。
全体に書き物的な空気の中で一人時代物の匂い濃厚な梅枝君が上手い。

宣伝にも言うとおり、忠臣蔵九段目に繋がる「エピソードゼロ」と思えばそれなりに楽しめる。役者陣は健闘で期待したよりは面白く見られた。

二・梅雨小袖昔八丈(ツユコソデムカシハチジョウ)
髪結新三

髪結新三 = 尾上菊之助(5代目)
白子屋手代忠七 = 中村梅枝(4代目)
下剃勝奴 = 中村萬太郎(初代)
家主女房おかく = 市村橘太郎
家主長兵衛 = 片岡亀蔵(4代目)
加賀屋藤兵衛 = 河原崎権十郎(4代目)
白子屋後家お常 = 市村萬次郎(2代目)
弥太五郎源七 = 市川團蔵(9代目)

ここ数年、女形だけでなく、積極的に音羽屋の芸に取り組んでいる菊之助。ついに新三に挑戦。
菊之助の新三は初演らしからぬ出来なのはさすが菊ちゃんなんだが、いささか酷薄さが目につくのはどうか。大家にやり込められるあたりでやっと抜け感が出てきたのでその辺は経験か。だがまあ、いい男の新三だこと。

亀蔵の大家は意外にまじめな感じ。もうちょっと食えないふてぶてしさがほしい。
團蔵の親分が上手い。やや落ち目のやさぐれ感がたまらん。

出色は梅枝の忠七。優男の情けなさ、いじましさが十分にあり、騙された被害者ではあるけれど、げすのだらしなさが匂う。初役でここまでやるって、どうなってるんだろう、この人は。

梅丸のお熊は可愛すぎて、婿を取るとか駆け落ちするとかいう歳に見えない。まだ寺子屋に通ってそう。ほとんど幼女誘拐事件。(笑)

新三を呼びに来る丁稚役で菊之助の長男和史君が出演。お目見えは2年前にやっているが、芝居は初めて。それどころか、お目見えではご挨拶もできなかったので、公で声を出すのも初めて。心配したが、大きな声を出せてしっかり務めていた。播磨屋のじいじにそっくりなのがご愛敬。正直、特別上手い子役とも思わなかったが、何事もこれから。のびのび育ってほしいな。

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