SSブログ

「寛永の雅」展 [美術]

サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_1/
”江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽”とサブタイトルのついて展覧会。江戸時代初期の寛永年間にスポットを当て、戦乱が収まった世に栄えた「きれい寂び」がキーワードとされる寛永文化を、後水尾天皇周辺の京の文化と、江戸の武家文化の発展を見ていく、珍しい切り口。

まずはじめは二代将軍秀忠の娘和子が入内した後水尾天皇を中心とした宮廷文化。
源氏物語絵巻などのサロン文化が発達した様子を、和子(東福門院)関連も含めて。

s-kanei004-900x600.jpg
住吉具慶 源氏物語絵巻 五巻のうち第三巻 

でも面白くなるのは次の小堀遠州コーナーから。
茶人として知られた遠州の美意識がよく表れた茶道具の数々。「きれい寂び」という言葉はここで登場する。大名茶人にふさわしい品の良さと、豪奢をひけらかさない瀟洒な美しさを持った道具をじっくり。
s-kanei006-750x600.jpg
小井戸茶碗 銘 六地蔵 一口 朝鮮時代 16世紀

そしてその次が仁清で、仁清が交流を持った茶人金森宗和との関連の中から出てきた仁清の作品。
色絵の華麗な作品で知られる仁清だが、宗和の指導の下で作られた初期の作品には意外にシンプルなものも。
1.jpg
野々村仁清 白釉円孔透鉢 一口
とはいえ、これなど、確かに色は白一色だがこのデザインのユニークさと言ったら、ちょっと他では見られない。なんてモダンな!

もちろんの地の楽しい色絵の作品もたくさんあって、このコーナーがいちばん充実していた。

最後は狩野探幽。生まれは京だが徳川幕府のお抱え絵師として活躍。京狩野とは違う江戸狩野派を発展させた。
s-kanei010-900x380.jpg
狩野探幽 桐鳳凰図屛風 六曲一双のうち右隻 
永徳に代表されるような桃山時代の剛毅さを感じさせる障壁画から変わって、探幽は華美すぎず端麗な画風を作り上げた。これもやっぱりきれい寂の一端。

こうして見ていくと、きれい寂という美意識は、この時代に確立された後江戸はもちろん現代までも日本人の美意識の根底に流れているもののような気がする。
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:アート