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オットー・ネーベル展 [美術]

Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/#point
ドイツ生まれの画家オットー・ネーベル(1892-1973)。寡聞にして名前も聞いた覚えがなかった。
カンディンスキーやクレーとの交流を通じて影響を受けながら自分の画風を追求していったというネーベルの、日本初の展覧会。
正直なところチラシを見た限りでは、カンディンスキーやクレーの亜流のようにも見えてしまい、あまり期待せず、と言うかむしろ一緒に展示されてるカンディンスキー目当てに見に行ったのだが、意外にもと言っては失礼だがなかなか見応えがあった。

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オットー・ネーベル《アスコーナ・ロンコ》1927年、水彩、グアッシュ
初期に憧れたのはシャガールだという。

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オットー・ネーベル《避難民》1935年
一目でああクレーっぽい。と思う。矢印とか。でも一面の点描のようなモザイク画法は偏執的とも思えるほどで、あと色使いの繊細さは生涯にわたってネーベルの特長。
クレーとは、戦争中に共にスイスのベルンに移住して知り合い、クレーが亡くなるまで交流が続いたという。

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オットー・ネーベル《地中海から(南国)》1935年
こちらは水彩。画家になる前、ネーベルは建築を学んでいた。そのせいか、都市の建築物の構造を抽象化した作品も多い。

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オットー・ネーベル《叙情的な答え》1940年、テンペラ・紙
これはもうカンディンスキーの影響がくっきり。なんだけど、モティーフの一つ一つがなんだか可愛かったり、これもやっぱり色が素敵だったり、惹かれるものが。
カンディンスキーはグッゲンハイム財団にネーベルを推薦して、財団がネーベルの作品を買い上げて支援した。

確かにどれも誰かの絵に似ていて、影響を受けつつ独自に絵を確立することの難しさを感じる。でもその一方で、どの絵も亜流と切り捨てるには魅力があって、デザイン性と、特に色使いは私はとても好み。もっと知られても良い画家だと思う。

シャガール、クレー、カンディンスキーらの作品も展示されていて、楽しかった。
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