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運慶展 [美術]

東京国立博物館

春には奈良で快慶展、秋は東京で運慶展。「運慶・快慶」となんとなくセットにされて覚えていたけれど、別にいつも一緒に共作していたわけではないんだな。

今回は奈良の興福寺中金堂再建記念の展覧会と言うことで、興福寺に縁の仏像を中心に、31体現存すると言われる運慶作の仏像のうち、22体が揃う。
父の康慶の作品に始まり、運慶が21才頃に作った最初期の仏像も。

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八大童子立像のうち恵光童子・制多伽童子
鎌倉時代・建久8年(1197)頃
和歌山・金剛峯寺蔵
八体のうち六体が運慶作だそうで、今回その六体とも展示。
どれも童子らしい幼さの残る、しかし力強い表情が魅力的。

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無著菩薩立像・世親菩薩立像(むじゃくぼさつりゅうぞう・せしんぼさつりゅうぞう)
運慶作
鎌倉時代・建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵
美術の教科書にも載ってたなあ、と思いながら実物の意外な大きさにも驚く。2メートル近い。リアルに刻まれた表情は力強い世親、慈愛深い無著と対照的。
今回は特にこの両像を取り巻くように四天王立像を配置。これは最近の調査で運慶作ではないかと言う可能性が出てきたとのこと。そう思って見るとさらに興味深い。

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興福寺南円堂四天王の一つ、多聞天立像
確かに運慶作と言ってもいい力強さと、衣装の細かい装飾まで見事に表現された技。

後半では、運慶の息子らと周辺の仏師達の作品が並ぶ。
中で、十二神将立像が42年ぶりに一堂に揃うのが見もの。これも運慶作の可能性があるらしいが未確認とのこと。

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十二神将立像(じゅうにしんしょうりゅうぞう)のうち 亥神
京都・浄瑠璃寺伝来
鎌倉時代・13世紀
格好いいなあ、十二神将。仏像の中でいちばん見ててアガル。それぞれ身につけてるものが違うのも楽しい。頭に付いてる干支もチャーミング。

だがこう言う格好いい仏像の中にあって、ユーモラスさでダントツなのはこちら。
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天燈鬼立像・龍燈鬼立像(てんとうきりゅうぞう・りゅうとうきりゅうぞう)
康弁作(龍燈鬼立像)
鎌倉時代・建保3年(1215)
奈良・興福寺蔵
いや、これあかんやろ。可愛すぎるわ。何なのこの顔。この体型。これほんとに灯籠として使ったのかしら。康弁は運慶の息子の一人。

父の康慶から息子、弟子達までの「慶派」の流れを間近に見られる。個人的には、快慶の作品の方にたおやかさを感じて好きだけど。(と言うほど詳しくもないが)

今回に限らず、東博の展示は照明が凝っていて、会場全体は暗めにして像にスポットライトが当たるような感じで仏像が浮かび上がる。賛否両論あるようだが、ドラマティックな感じはする。
なんにしろ、普段所蔵されてるお寺に行ってもそう近くまでは寄れないが、触れそうなくらい近くで、しかも360度観られるのはありがたい。
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