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八月花形歌舞伎第三、四部 [舞台]

歌舞伎座

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先週に続いて三、四部を。

第三部
吉野山

佐藤忠信実は源九郎狐 猿之助
逸見藤太  猿弥
静御前  七之助

吉野山、久しぶりの澤瀉屋型。猿之助の狐忠信はひたすら可愛く格好いい。幕切れぶっ返って狐の衣装になってのの引っ込みが沸かせる。
七之助の静はクールビューティ。個人的にはもうちょっと可愛げほしいなぁ。まあ忠信に対しては主人格だけど、頼りにするのは彼だけという甘えのようなものもちょっとは見えてもいいと思うのよ。たぶん玉様仕込みなんだろう。
猿弥の藤太のコミカルさは無二。

藤太と捕り手のやり取りが花道でなく舞台上だった。花道をなるべく使わないようにだろうな。

第四部
与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
源氏店

切られ与三郎  幸四郎
妾お富   児太郎
番頭藤八  片岡亀蔵
和泉屋多左衛門  中車
蝙蝠の安五郎  彌十郎

時間の関係か見染の場はなく源氏店から。しかも黒塀外はなくいきなり室内に藤八が入り込んでいるところからスタート。それだけでもやや興を削がれる感じ。
その上コロナ禍で密な接触を防ぐために演出の変更がいくつかあり、藤八にお富が化粧してやる場面は藤八が自分でおしろいを塗る。また、幕切れのお富と与三郎が抱き合うシーンもソーシャルディスタンディングで二人で手ぬぐいを取り合って幕。好意的に見る向きも多いようだがあの幕切れは私は嫌だ。周りからも笑いが起こってしまっていてまるでウケ狙いのように見えてしまう。そうすると、与三郎とお富でなく幸四郎と児太郎になってしまうのだ。笑いが起きないなら良いんだけど。いっそ「そんならお前は兄さん」でぶっつり切れる従来のやり方の方が歌舞伎らしくて良いと私は思う。

見慣れた古典の演出を変更する場合、やはりそうするだけの説得力が必要で、今回の源氏店のようにコロナのせいでやむを得ず、だと見ていて「あ~あ、こうするしかないのか」というがっかり感が強い。

幸四郎の与三郎は確かに頬被りの中の憂いのある顔が美しく、甘ったれな坊ちゃんが身を持ち崩しきれない雰囲気はあったけど。周りがいかんせん初役が多いせいか世話物の空気感が薄い。

児太郎のお富も期待したほどでは。婀娜っぽさとがさつさは違うはず。台詞も教わったとおりに一応一生懸命やってるけど実がないというか。(それでもちゃんとなぞれているのは偉いが) 児太郎はもっと練っていけば当たり役になりそうなので、次はぜひ普通の演出でやらせてあげたい。

それは中車も彌十郎も同じでまだ役の性根を掴み切れていない感じ。みんなもう一歩。再演に期待。(しかし、中車と彌十郎はニンが逆だと思うが)

とは言え、他の三部が舞踊ものだったのと比べ、制限ある中で芝居をやるのはかなりの苦労があると思う。そこは健闘を称えたい。(何様ですいません)


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