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熊谷守一展 [美術]

東京国立近代美術館
http://kumagai2017.exhn.jp/

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熊谷守一(1880‐1977)の没後40年記念の回顧展。
熊谷守一と言えば、晩年の切り絵か版画のような単純化された猫や花の絵しか知らなかったので、若い頃のゴッホのような、初期の暗い色調の厚塗りの作品に驚き。さらに、先述のような熊谷と言えばのスタイルは70代以降と知ってさらにびっくり。変遷が面白いがやはり猫の絵が可愛い。

展示は年代順。
第一章「闇の守一」1900年代~10年代
闇の中でのものの見え方に興味があったというこの時期の絵は、闇と光というより闇と闇といった感じで本当に色が暗い。
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《 蠟燭 》1909年
目をこらさないと何が描かれてるか見えない。この闇の中に熊谷は何を見ていたのだろう。

第二章「守一を探す守一」1920年代~50年代
この時代になるとまるでフォービズムのような人物画から、やや単純化されたフォルムの風景画に遷ってくる。逆光に浮かぶ人物の輪郭に見える赤い線が、山の稜線などを彩る線に結びついたのだという。
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《人物》1927年頃 

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《風景》1940~50年頃


第三章 「守一になった守一」1950年代~70年代
晩年とも言える70歳代になってついに、熊谷と言えば誰もが思う作風に到達する。第二章から第三章への変化は素人目には唐突にも思えて不思議なんだけど。

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《ハルシャ菊》1954年

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《猫》1965年
晩年は病のせいもあって、家からあまり出ずに庭で虫や花をじっと観察して絵を描いたという。そういう生き物への視線が優しい。

若い頃は貧困にも苦しみ一時は故郷に帰って材木業に従事したり、また子供に先立たれたり、苦難の中で描き続けて老年になってこういう明るい色彩と穏やかで単純にも見える描写に至った心中は想像できない。見る方はただ「あら可愛い」とか思うだけだけど。
正直、晩年の絵だけでも十分楽しめた。



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