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松竹座壽初春大歌舞伎 夜の部 [舞台]

1月3日(火) 松竹座

夜の部は二日目。

一、鶴亀(つるかめ)
女帝   藤十郎
鶴    国生改め橋之助
亀    宗生改め福之助
従者    宜生改め歌之助

いかにもご祝儀舞踊という感じで、ゆったり厳か。ついつい眠気に襲われて撃沈しました。でもお正月から神々しい藤十郎さんを拝見できて、めでたいめでたい。三兄弟はひたすら行儀良く。

二、口上
仕切りは今月も山城屋さん。我當さんも並ぶのが嬉しい。進之介もいるのは松竹座ならでは。内容はそれほど目新しい話はなかったように思う。
ただ、去年幹部昇進して梅花を襲名した芝喜松さんが列座、芝翫さんから紹介があったのが嬉しかった。歌舞伎座ではなかったからね。

三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶   橋之助改め芝翫
源義経     魁春
亀井六郎    国生改め橋之助
片岡八郎    宗生改め福之助
駿河次郎    宜生改め歌之助
常陸坊海尊   橘三郎
富樫左衛門   仁左衛門

橋之助時代にも弁慶はやっているが、今回は襲名と言うこともあってか、かなり力が入っていた。気持ちはわかるがちょっと一人で空回りしてるように見えるところもあり、まあ落ち着いて、と思ってしまった。でも、それが弁慶の必死さに繋がる部分もある。力の入ってない弁慶なんて、見られるか!とも思うので、そのへんの加減が難しい。台詞は明瞭で悪くない。山伏問答などもきっちりしている。むしろ、関所を通った後の、義経への侘びなどの場面がやり過ぎ感があったように感じた。月末にかけて落ち着いてくればいいな。祝幕を背にしての幕外の六方は否が応でも盛り上がる。

仁左衛門の富樫。悪かろうはずがない。台詞の明瞭さ、佇まいの凛とした美しさ。官僚としての智と武士としての情とを兼ね備えた高潔な人物像が浮かび上がる。冷徹さと内なる血の熱さと。ああ、久しぶりに正統な富樫見たなあ。これが見たくて今月松竹座を観に行ったと言っても過言ではない。この日は2階左袖の席だったので、普段は横顔の富樫をほぼ正面から見ることが出来て、幸せでした(笑)。

義経は魁春だが、この人はやはり真女形で、義経とは言え立ち役は向いてないんだな~。いくら能では子方が勤めるとは言え、歌舞伎の義経はやはり御大将の凛々しさや大きさがほしい。ただ小さく家来の影に隠れているような義経では困る。また、この日は笠の紐を結ぶのに手間取ったりしてハラハラするところも。

四天王には三兄弟が並ぶ。いずれは自分も弁慶、と思いながら父のを見てるんだろうなあ。

四、雁のたより(かりのたより)
髪結三二五郎七  鴈治郎 
花車お玉      孝太郎
若殿前野左司馬   亀鶴
愛妾司     児太郎
乳母お光    芝喜松改め梅花
医者玄伯    寿治郎
家老高木治郎太夫    彌十郎
若旦那万屋金之助    橋之助改め芝翫

東京ではまずかからない演目なので、久しぶりに見た。上方の、新喜劇風の笑いが肝の演目なので、そういう役者の腕がもろにでる。
鴈治郎は初演ではないらしいが、まだまだこういうおかしみは身についていないみたい。まだ相手がいて掛け合いになるところは良いが、一人漫才みたいなところがまだこなれていない感じ。歌舞伎役者の中で喜劇の上手い鴈治郎にして苦戦している。いや~、難しいなあれは。お稽古して出来るようになるような部分じゃないし、といってドタバタギャグでもないし。回数を重ねるしかないんだろうな。
まあ、話そのものはいい加減で、ラストもそんなうまい話あるかい!ってなもんだから、ストーリーで楽しませる演目とは言えないところが、上方らしくて難しいのだ。

孝太郎が花車らしい華やぎと柔らかさを見せるのがこの一座ではさすがに光る。
児太郎の司が傾城から身請けされて殿様の側女になっている女らしいツンとした美しさ。巧まずして笑いを取ってるのが良い感じ。やり過ぎないのがお父さんと違うところかも。
亀鶴が司にめろめろの馬鹿っぽいお殿様。
彌十郎が、この芝居で唯一のまともな人(苦笑)。誠実で暖かい。この頃こういう役がしみじみと似合うようになった。

どの人もやり過ぎない、ほどほどに品の良い舞台だった。それがこの演目に良いのか悪いのか、わからない。ドタバタとは違うから爆笑すれば良いというのでもないし。まだ二日目だったし、こなれてくれば深化するだろうか。

タグ:歌舞伎
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