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御園座二月花形歌舞伎・夜の部 [舞台]

2月21日(火)

引き続き夜の部。

201202御園座.JPG

一、通し狂言 青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)
  白浪五人男   
序 幕 初瀬寺花見の場      
     神輿ヶ嶽の場      
     稲瀬川谷間の場  
二幕目 雪の下浜松屋の場      
   同 蔵前の場      
      稲瀬川勢揃の場  
大 詰 極楽寺屋根立腹の場      
   同 山門の場      
     滑川土橋の場

弁天小僧菊之助  菊之助                
南郷力丸  松 緑                
忠信利平  亀三郎        
鳶頭清次/青砥左衛門藤綱  亀 寿               
赤星十三郎  梅 枝              
浜松屋宗之助  萬太郎                 
千寿姫  右 近              
浜松屋幸兵衛  権十郎                  
局柵  萬次郎              
日本駄右衛門  團 蔵

この演目の通しは、数年前菊五郎の弁天を始めおそらく現代最高の顔合わせとも言える配役で見たことがあるだけ。その時に比べると、今回は大半が一世代若い。若さゆえの勢いや活きの良さ、見た目の綺麗さは楽しめる一方で、芝居運びなどにもたつきが出るのは否めない。特に感じたのは序幕で、通し以外ではまずやらない場なだけあって元々そう面白い場でもないから、いささか退屈な感じはしてしまった。

とはいえ、右近の千寿姫に可憐さと品がありなかなか。梅枝の十三郎もお小姓らしいおっとりとした様子。
萬次郎の柵は本役で、世事に長けた腰元の様子。
松緑がここでは奴のなりで、軽妙さを見せる。実は、松緑は当代一の奴が似合う役者だと思っている。本人はそう言われてうれしいかわからないが。あの衣装もよく似合うし、奴特有の「ねい、ねい」という台詞も何とも言えずしっくり(笑)。4月の平右衛門が楽しみ。

菊之助が前半は若君に扮しているのがいかにも品の良い風情でぴったり。それが本性を顕したところでがらりと声音を変えるところが上手い。声の良い人は得だね。

やはり俄然面白いのは二幕目。
菊之助の弁天小僧はすでに本役。もちろんお父さんの粋な味にはまだまだだが、若い今しかない美しさ、少年の危うさと言う時分の花がそれを補って十分。特に前半のお嬢さんに化けてる間は、菊ちゃんの方が綺麗で良いなあ(笑)。男とばれてからは、不良少年のようなすねた様子と、開き直っての痛快さもあり上々。

付き合う南郷の松緑もしっかりした兄貴分らしい落ち着きとふてぶてしさも見せ、菊之助との釣り合いも良く似合いのコンビ。
日本駄右衛門が團蔵というのは、他の座組ではまずないが、花形の中の上置き的な役回りとして十分、貫禄を見せた。

勢揃いから大詰めまでは、筋と言うより役者の華で見せる部分が多いので、序幕同様やや辛いが、勢揃いは台詞の味はともかくも、若手が揃って活きの良いところを見せて面白い。
大詰め立腹の場では菊之助が大立ち回りを見せて場をさらった。
亀寿が浜松屋では鳶頭、大詰めでは捌き役の青砥左衛門と、美味しい役どころで、きっちりすっきり。

昼も夜も、花形歌舞伎として変に逃げず、義太夫狂言から黙阿弥まで真正面から取り組んだ姿勢に拍手。また十分な成果も上げていたと思う。菊之助松緑だけでなく、次の菊五郎劇団をになうメンバーがほぼ揃って、先々が楽しみになった。
タグ:菊之助 松緑
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