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文楽初春公演第1部 [舞台]

1月4日(水) 国立文楽劇場

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前夜の第一部に続いて、この日は第一部と第2部をもう一度、通しで観劇。
東京に比べて大阪の文楽は観客の入りが悪いことが多いが、この日はまだお正月と言うことでか昼夜ともほぼ満員の盛況で嬉しい。


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七福神宝の入舩 しちふくじんたからのいりふね
英・三輪・津國・南都・相子・咲寿・小住、清介・團吾・清馗・清丈・龍爾・寛太郎
文司・玉志・勘市・簑一郎・紋臣・一輔・玉佳

七福神がそれぞれ琴や三味線などの芸を見せる、と言う他愛もない筋だがお正月らしくおめでたく楽しい。
演奏も琴の龍爾や胡弓の寛太郎などが本業の三味線の他にもよく聞かせて感心。
幕開きでは七福神が乗った船が回転しながらせりで上がってきて、おお~、と拍手喝采。またその船の頭に竜がついているおめでたさ。

この一幕の後、恒例の手ぬぐい撒きだが、いつもと違って七福神の人形を持ったまま撒いて下さった。まるで七福神が撒いているようで、おめでたさ一層倍。もっとも私はもらえなかったけど。

菅原伝授手習鑑 すがわらでんじゅてならいかがみ
 茶筅酒の段 松香・団七
 喧嘩の段  文字久・清志郞 
 訴訟の段  千歳・清友
 桜丸切腹の段  住・錦糸
和生の白太夫、簑二郎の八重、簑助の桜丸、文昇の春、勘壽の千代、玉輝の松王丸、幸助の梅王丸

昨年2月東京でのと一部配役を替えての上演。
前回同様、簑助の桜丸が絶品。暖簾をくぐって出てきたところから悲痛と覚悟が見えて、しかしとにかく美しい。ややうつむき加減の顔に憂いが宿り、八重を見る顔に寂しさが映る。人形なのに。人形だから。この魂の入り具合は一体何なんだろう。
和生の白太夫も父親としての威厳もありながら、息子を見送らざるを得ない悲しさが溢れて立派。和生さんはお姫様も遣うしこういう老人も上手い。好きだなあ。

文字久が喧嘩の段で兄弟の争いを勢いよく聞かせた。コクが出てきて、お師匠さんに似ていらした。
千歳も梅、松それぞれの複雑な気持ちと白太夫の威厳を聞かせて上々。
住さんの切腹の段はなんにも言うことありません。桜丸の述懐もさることながら、何しろ白太夫が良い。切なくて悲しくて、親の愛情に溢れていて。八重に向かっての「泣くなやい」が胸を打つ。

住さんの語りで簑助さんの人形。こんな贅沢をお正月から見られて本当に幸せでした。

卅三間堂棟由来 さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい
 平太郎住家より木遣り音頭の段 睦・喜一朗、津駒・寛治
文雀のお柳、玉也の平太郎、玉志の進ノ蔵人、勘彌の平太郎母

お柳は文雀さんお得意の役。実は柳の精という人間ではないものが人と結ばれ子をもうけて去っていくというのは葛の葉とほぼ同じ。前半、しっとりとした女房の風情から、柳の精となっての妖しさと子別れの悲しさを切なくも美しく見せてさすがに立派。お元気そうな文雀さんが見られて安心。

玉也の夫平太郎も誠実な様子と、お柳と子どもを思う優しさがあって素敵。

津駒と寛治がお柳のクドキを切々と聴かせて泣かせた。寛治さんの三味線、やっぱりいちばん好き。こういうしみじみするところは寛治さんで聞きたい。

この初春公演は、人間国宝始め皆さん休演者もなく始まってなにより。
今年もますます文楽が盛んでありますように。

この後入れ替え時間に近くの生玉さんに初詣に行き、第2部を見てから東京へ。ぎりぎり日付変わる前に帰宅しました。さすがに疲れた~。


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