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文楽初春公演第2部 [舞台]

1月3日(火) 国立文楽劇場

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松竹座の昼の部終演が3時45分くらいで、文楽第2部の開演が4時。地下鉄で一駅とは言えさすがに間に合わず。入ったらもう演奏が始まっていたが、紅白幕は落とされておらずやれやれ、と思ったけど一瞬清治さんと目があったような気がしたのは気のせいかしら(汗)。

義経千本桜
道行初音旅 呂勢、文字久他、清治・清志郞・他
河漣法眼館の段 咲甫・宗助、咲・燕三・清丈

勘十郎の狐忠信、清十郎の静御前、文司の義経、清五郎の佐藤忠信

(ネタバレあり)
勘十郎忠信の吉野山は去年2月、簑助の静以来。あれは私的に去年のベスト文楽だった。今回は前回以上にケレン味を増して運動量も豊富。まず始めの狐の出が上手床の左端の大夫の見台を割って出てくるもので意表を突く。この型の出は初めて観たな~。びっくり。後は、早替わりで着替えたりほぼ通常通りだったかな。

とにかく勘十郎の狐忠信は動きが大きく溌剌としていて、人形と一緒に着替えも何度もやって忙しそう。重い人形を持ってあれだけ動くのだから、役者が自分で動くよりずっと大変だろうに、それでいて美しく、型が崩れない。道行でも四の切りでも、颯爽としていてほんとに格好いい。もう惚れ惚れ観てしまった。
最後は宙乗りまで披露。館のセットがせりで下がっていき、勘十郎一人舞台に残って持った鼓を振ると花びらが撒かれる、何とも美しい幕切れ。

清十郎の静御前は清楚で美しく品があるのはこの人らしい。でも吉野山ではもう少し華やかさがほしい感じも。どうしても簑助さんの残像がちらついちゃうから分が悪いのだけど。四の切りの方では義経を慕う様子と、忠信への情もあり上々。

道行では呂勢が美声を聴かせ、文字久がコクのある語り。清治の三味線がさすがに華やかで切れもあり聴かせた。
河連法眼館ではなんと言っても切りの咲がテンポ良くきびきびとした語り。燕三もいつもの勇壮さよりは抑えめにしていながら、華やかさもあり、情もあり立派。

壺坂観音霊験記 (つぼさかかんのんれいげんき)
 土佐町松原の段 希・寛太郎(御簾内)
 沢市内の段 源・藤蔵
 山の段 嶋・富助、龍爾
紋壽のお里、玉女の沢市

話自体はね、あんまり面白いとは思わないんだな。歌舞伎でやっても文楽でやっても、「信心が第一」って言う抹香臭さがあって現代人にはちょっとね。でもそこを超越して面白く見せ聴かせるのが芸の力。

圧巻は山の段の嶋・富。11月休演で心配された嶋大夫、どこが悪かったのかと思うくらい元気いっぱい。前半沢市が身を投げるまではまあ普通にしみじみ。その後お里が戻って来ての狂乱からが、こういう場面にこんな表現で良いかとは思うが、もうノリノリ。テンポ良く前へ前へぐいぐい飛ばしてくれる。奇跡が起きて二人が喜ぶところはもう感情爆発。それでいて二人の情愛はぐぐっと胸に迫る。いや、もう嶋さんには脱帽です。魂持って行かれました。

沢市内の段の源大夫は声量の衰えは隠せず、昔を知るものには寂しくもあるが、その分もじっくり丁寧に語って夫婦のお互いを思う気持ちをしっとりと聞かせた。源大夫さん、なんだか見た目も老骨武士みたいに端正に枯れてきたなあ(ほめてるつもり)。藤蔵の方はそれに対してちょっとがんばり過ぎかな。大夫の分も支えなきゃと思ってるのかもしれないが、特にこの場では力強い演奏がちょっとそぐわない気がした。

紋壽のお里がさすがに綺麗。しっとりして優しげでいじらしい。山の段では沢市が身を投げたと知っての狂乱振りが激しく哀れで、その後の喜びとの対比を見せた。また、沢市内で着物の繕いをするところが人形がやっているとは思えない上手さで、場内からも「ほ~」と言った声が聞こえた。
玉女の沢市は端正で大人しげな風情で、哀れさと幕切れの喜びの変化が効いた。もうちょっと目の不自由な様子の工夫がほしい気もするけど。
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