空海と密教美術展 [美術]
8月17日(水)
東京国立博物館
http://kukai2011.jp/
夏休み最後の日。暑かった~。着いてもしばらく汗が引かないので、本館の椅子に座って呼吸を整えてから平成館に向かいましたが、平日にしてはまだ夏休みの人が多いのか思いの外混んでいて、館内は冷房控えめで蒸し暑く、なんだかぐったりしてしまいました。
空海は、言わずと知れた真言宗の開祖にして唐から密教を我が国にもたらした人。まさに日本史上傑出した偉人巨人。以前司馬遼太郎の「空海の風景」という本を読んだが、島国日本によくこんな人が現れたなと思うような、スーパーマンみたいな人。
この展覧会では、
まず第1章「空海」はその空海の人となりを紹介するコーナーで、自筆の書や肖像画を見せ、
次に第2章「入唐求法」で空海が唐から持ち帰った仏像や工芸品など、
そして第3章「密教胎動」はいよいよ密教に関わるコーナーで仏具や曼荼羅図など、
そして最後第4章「法灯」が空海と同時代からその直弟子達の生きた9~10世紀に作られた仏教美術の数々、という構成になっている。
3時過ぎに入ったが、始めの方の書や密教仏具などは小さいため人だかりがしていたので後回し。第3コーナーあたりの仏像類から先に見て回る。そして一通り見てから最初に戻って閉館近くなって空いたところを見る、という配分にしたので、何とか全部ちゃんと見ることができた。
第1章では、自筆の書が目玉。唐の人々も唸らせたという名筆の数々。しっかりとした男性的な手跡。
国宝 「聾瞽指帰(ろうこしいき)」 空海青年時代の書。なんだか、字そのものに説得力があるような気がしてしまう。
第2章では持ち帰った密教仏具、曼荼羅図などだが、密教ってよくわかんない。。。乱暴に言うと「即身成仏」とか言って、誰でも仏になれる(!?)、そのための教え、、、らしい。
国宝 「密教法具」
唐時代・9世紀 京都・東寺蔵
金剛盤の上に五鈷鈴(ごこれい)と五鈷杵を据えた密教法具のセット。
密教の法具はこんな一見なんにするのかよくわからないものが多い。もちろん、ほんとは一つ一つちゃんと意味役割があるんだけど。
第3章の見物は曼荼羅図。醍醐寺に両界曼荼羅二幅が展示されるはずだったが、アクシデントがあってこの日は「金剛界」図のみ展示。何しろ古くて褪色も激しく、ほとんど何が描いてあるかわからないのだが、、、。
第4章が目的の仏像類。
去年の薬師寺の阿修羅像の時もだったが、この頃仏像ブームらしく、それも若い人が熱い眼差しで見ているのが面白い。なんなんですかね。かといって仏教に救いを求めているようにも思えないけど。そういう自分だってこうして展覧会見に来てるんだから、人のこと言えないけど。
でも、確かに仏様は美しい。極論を言うと、仏様なら、なんだって美しいとさえ思う。国宝でもなんでもなく、その辺の名もないお寺に祀ってあるものでも、人が長年拝んできたものには、なにがしかの魂が宿っているように思われることがある。それは美術的な価値とは違う次元なんだろうな。
話がそれたが、今回来ているのは空海ゆかりの東寺や醍醐寺などの仏様。
重要文化財 「如意輪観音菩薩坐像」
平安時代・9世紀 京都・醍醐寺蔵
仏様なんだけど、なんだかしどけないくつろいだ様子で、色っぽいのです。これ拝んでたら、お坊さん迷いそうなんだけど。
重要文化財「五大明王像(大威徳)」
平安時代・10世紀 京都・醍醐寺蔵
後背の炎がめらめら、お顔も誇張された厳めしさ。なのに乗っている水牛の顔のとぼけたこと!すいません、これ笑っちゃったんですけど。
そして最後の部屋がこの展覧会目玉の「仏像曼荼羅」
普通は絵に描かれた二次元の曼荼羅を、仏像を並べて三次元で表現した東寺講堂を、一部だが再現したもの。本来は大日如来を中心に、明王、菩薩、天部など21体で構成されるものだが、そのうち8体を展示。
いちばん人気はこちら。国宝「帝釈天騎象像」
薬師寺の阿修羅像と良い勝負のイケメンです。ただ、こちらのお顔は後世作り直されたものだとか。当初のお顔はどんなだったのかな。
私のお気に入り 国宝「持国天立像(四天王)」
実は明王とか天部とか、「戦う」仏像が好きなのです。だって悟りを開いてじっとしてるのより躍動的で、なんたって「格好いい」でしょ(笑)。この持国天も、まあ厳ついお顔に武器をかざしてど迫力。そして踏みつけられてる邪鬼が哀れにもユーモラス!
ここの立体曼荼羅の展示室は、近頃の東博おなじみにスロープを使って上から全体を見下ろし、降りて一つ一つ細部も見ることができる親切さ。たぶん、東寺に行ってもこうしてちゃんと見ることはできないだろうからありがたい。
密教のことも曼荼羅のことも、全然よくわからないけど、でもなんだか面白くてパワーが出てきそうな展覧会。ぜひご覧下さい。
この雑誌、わかりやすくてよかったです。写真もいっぱい。図録の代わりにこちらを買いました。
で、空海ってどんな人?と思った方はこちらをどうぞ。
東京国立博物館
http://kukai2011.jp/
夏休み最後の日。暑かった~。着いてもしばらく汗が引かないので、本館の椅子に座って呼吸を整えてから平成館に向かいましたが、平日にしてはまだ夏休みの人が多いのか思いの外混んでいて、館内は冷房控えめで蒸し暑く、なんだかぐったりしてしまいました。
空海は、言わずと知れた真言宗の開祖にして唐から密教を我が国にもたらした人。まさに日本史上傑出した偉人巨人。以前司馬遼太郎の「空海の風景」という本を読んだが、島国日本によくこんな人が現れたなと思うような、スーパーマンみたいな人。
この展覧会では、
まず第1章「空海」はその空海の人となりを紹介するコーナーで、自筆の書や肖像画を見せ、
次に第2章「入唐求法」で空海が唐から持ち帰った仏像や工芸品など、
そして第3章「密教胎動」はいよいよ密教に関わるコーナーで仏具や曼荼羅図など、
そして最後第4章「法灯」が空海と同時代からその直弟子達の生きた9~10世紀に作られた仏教美術の数々、という構成になっている。
3時過ぎに入ったが、始めの方の書や密教仏具などは小さいため人だかりがしていたので後回し。第3コーナーあたりの仏像類から先に見て回る。そして一通り見てから最初に戻って閉館近くなって空いたところを見る、という配分にしたので、何とか全部ちゃんと見ることができた。
第1章では、自筆の書が目玉。唐の人々も唸らせたという名筆の数々。しっかりとした男性的な手跡。
国宝 「聾瞽指帰(ろうこしいき)」 空海青年時代の書。なんだか、字そのものに説得力があるような気がしてしまう。
第2章では持ち帰った密教仏具、曼荼羅図などだが、密教ってよくわかんない。。。乱暴に言うと「即身成仏」とか言って、誰でも仏になれる(!?)、そのための教え、、、らしい。
国宝 「密教法具」
唐時代・9世紀 京都・東寺蔵
金剛盤の上に五鈷鈴(ごこれい)と五鈷杵を据えた密教法具のセット。
密教の法具はこんな一見なんにするのかよくわからないものが多い。もちろん、ほんとは一つ一つちゃんと意味役割があるんだけど。
第3章の見物は曼荼羅図。醍醐寺に両界曼荼羅二幅が展示されるはずだったが、アクシデントがあってこの日は「金剛界」図のみ展示。何しろ古くて褪色も激しく、ほとんど何が描いてあるかわからないのだが、、、。
第4章が目的の仏像類。
去年の薬師寺の阿修羅像の時もだったが、この頃仏像ブームらしく、それも若い人が熱い眼差しで見ているのが面白い。なんなんですかね。かといって仏教に救いを求めているようにも思えないけど。そういう自分だってこうして展覧会見に来てるんだから、人のこと言えないけど。
でも、確かに仏様は美しい。極論を言うと、仏様なら、なんだって美しいとさえ思う。国宝でもなんでもなく、その辺の名もないお寺に祀ってあるものでも、人が長年拝んできたものには、なにがしかの魂が宿っているように思われることがある。それは美術的な価値とは違う次元なんだろうな。
話がそれたが、今回来ているのは空海ゆかりの東寺や醍醐寺などの仏様。
重要文化財 「如意輪観音菩薩坐像」
平安時代・9世紀 京都・醍醐寺蔵
仏様なんだけど、なんだかしどけないくつろいだ様子で、色っぽいのです。これ拝んでたら、お坊さん迷いそうなんだけど。
重要文化財「五大明王像(大威徳)」
平安時代・10世紀 京都・醍醐寺蔵
後背の炎がめらめら、お顔も誇張された厳めしさ。なのに乗っている水牛の顔のとぼけたこと!すいません、これ笑っちゃったんですけど。
そして最後の部屋がこの展覧会目玉の「仏像曼荼羅」
普通は絵に描かれた二次元の曼荼羅を、仏像を並べて三次元で表現した東寺講堂を、一部だが再現したもの。本来は大日如来を中心に、明王、菩薩、天部など21体で構成されるものだが、そのうち8体を展示。
いちばん人気はこちら。国宝「帝釈天騎象像」
薬師寺の阿修羅像と良い勝負のイケメンです。ただ、こちらのお顔は後世作り直されたものだとか。当初のお顔はどんなだったのかな。
私のお気に入り 国宝「持国天立像(四天王)」
実は明王とか天部とか、「戦う」仏像が好きなのです。だって悟りを開いてじっとしてるのより躍動的で、なんたって「格好いい」でしょ(笑)。この持国天も、まあ厳ついお顔に武器をかざしてど迫力。そして踏みつけられてる邪鬼が哀れにもユーモラス!
ここの立体曼荼羅の展示室は、近頃の東博おなじみにスロープを使って上から全体を見下ろし、降りて一つ一つ細部も見ることができる親切さ。たぶん、東寺に行ってもこうしてちゃんと見ることはできないだろうからありがたい。
密教のことも曼荼羅のことも、全然よくわからないけど、でもなんだか面白くてパワーが出てきそうな展覧会。ぜひご覧下さい。
Discover Japan (ディスカバー・ジャパン) 2011年 08月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2011/07/06
- メディア: 雑誌
この雑誌、わかりやすくてよかったです。写真もいっぱい。図録の代わりにこちらを買いました。
で、空海ってどんな人?と思った方はこちらをどうぞ。
如意輪観音菩薩坐像。美しかったですよね~~~
右の頬側から見るお顔が私はとっても好みでした♪♪♪
これ、もう一回観に行こうか真剣に悩んでます(笑)
空海の風景は、私も読みました^^
by リュカ (2011-08-23 19:28)
>密教のことも曼荼羅のことも、全然よくわからない
正直なお方・・・。
>人が長年拝んできたものには、なにがしかの魂が宿っているように思われることがある。
う~~んん・・・これだけお分かりなら充分でしょう・・・流石です・・・。
by ユキタロウ (2011-08-23 19:42)
学校の授業で習った知識も今やおぼろ
空海ってどんな人?
から始めないといけないようです。
by そらへい (2011-08-23 21:59)
リュカさん、
はい、とってもお綺麗な仏様でしたねえ。
今回見た仏像はどれも素敵でした。新しいのよりこの時代の方が好きかも。
私ももう一度観たいけど、会期末は混雑がひどそうでね。。。
by mami (2011-08-24 00:43)
ユキタロウさん、
>正直なお方・・・。
ええ、もう知ったかぶりは止めようと。知らないことは知らない、って正直に言いますとも。(苦笑)
(ところで、ソネブロ止めたんですか?)
by mami (2011-08-24 00:46)
そらへいさん、
「空海の風景」は面白かったですよ。
お時間があったらご一読をお薦めします。
私は高野山に行きたくなりました。
by mami (2011-08-24 00:47)
>ところで、ソネブロ
・・・・・。(汗)
夏は苦手なので・・・サボリですが・・・「LOH症候群」かも・・・。(大汗)
メインサイトは細々やっております・・・リンクからどうぞ。
by ユキタロウ (2011-08-24 19:38)
関西に住んでいると、仏像やお寺が身近にみられるので良かったと思います。mamiさんと同じように、仏様が長年にわたって多くの人々の想いを受け止めてきたのだと思うと、敬虔な気持ちになります。9月4日(日)に出張で秀山祭を見に行きます。時間があれば国立博物館にも行ってみたいものです。
by nori (2011-08-25 22:20)
noriさん、
京都や奈良はほんとにいっぱいお寺がありますよね。まだ行ったことないところがたくさんあって、いつか行かなきゃ~、と思います。
4日は私も昼の部に行きますよ。noriさんはどちらですか?ご挨拶できると良いですね!
by mami (2011-08-25 23:22)
秀山祭は、昼は会議なので、夜の部になります。久しぶりに襲名披露の口上が聞けるのが楽しみです。
by nori (2011-08-26 00:28)