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大阪松竹座 團菊祭五月大歌舞伎・昼の部 [舞台]

5月5日(木)
帰省最後の日。昼の部を観てそのまま東京へ戻ります。

一、女暫(おんなしばらく)
巴御前    時 蔵             
轟坊震斎    松 緑             
女鯰若菜    菊之助             
成田五郎    市 蔵             
猪俣平六    男女蔵             
江田源三    亀三郎             
東條八郎    亀 寿           
清水冠者義高    梅 枝             
手塚太郎    萬太郎              
紅梅姫  尾上右 近              
局唐糸    竹三郎           
家老根井行親    家 橘            
蒲冠者範頼    團 蔵              
舞台番    左團次

歌舞伎十八番の一つ「暫」の主人公、鎌倉権五郎を女の巴御前に置き換えて、荒唐無稽さはそのままによりユーモラスなものにした、と言ったところ。
今までに見た巴御前は、玉三郎、萬次郎、福助、それに「御ひいき勧進帳」での雀右衛門、かな。と言うことで時蔵は初見、と言うか初役かも。

時蔵の巴御前は、艶やかで華があって、それにこの役に大切な愛嬌もたっぷり。花道でのつらねも良く聞かせて充分。最後の引っ込みでの舞台番とのやりとりが可愛い~。やっぱり時蔵さん、素敵だなあ。

周りでは松緑、菊之助がすっかり本役。若々しくて良いね。
團蔵の範頼は、普段の三枚目敵の味が抜けなくて、いささか軽い。
左團次の舞台番が江戸前の雰囲気がいなせでカッコイイ。
腹出しのうち、亀寿君がなんか無駄に男前だった。だってこんな三枚目の赤っ面でイケメンってどうよ(笑)。
萬太郎の手塚太郎も行儀良く凛々しい。
「女暫」は楽しい~!本物の「暫」より突っ込みどころ満載で可笑しい上に、見た目も華やかで面白しくて、好きだな。

二、汐汲(しおくみ)
蜑女苅藻    藤十郎              
此兵衛    翫 雀

そんなにやらない演目だと思っていたけど、去年から藤十郎が取り上げていてこれで三回目。観るのは去年6月の博多座に続いて二度目。
藤十郎はいつもながら艶やかでしっとりとした色気があって、綺麗。ほんとに年齢不詳(笑)。衣装が、始めは海女をイメージした青から途中で引き抜いて赤に変わるのがハッとするほど鮮やか。 踊りもはんなりして柔らかくて、さすがに上手い。いやはや、先月は「封印切り」であほな忠兵衛をやっていた同じ人とは。ほんとに凄い役者さんだ。
翫雀の此兵衛も横恋慕する小悪党と言った味で、小気味良い動きを見せた。
20分くらいの短い演目だが、まさしく目の保養。上等な口直し。

三、極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)
  「公平法問諍」(きんぴらほうもんあらそい)           
幡随院長兵衛    團十郎             
女房お時    時 蔵            
出尻清兵衛    翫 雀            
渡辺綱九郎    権十郎             
極楽十三    男女蔵             
雷重五郎    亀三郎             
神田弥吉    亀 寿             
小仏小平    萬太郎             
閻魔大助  尾上右 近             
坂田公平    市 蔵            
御台柏の前    右之助            
伊予守頼義    家 橘            
近藤登之助    彦三郎            
唐犬権兵衛    左團次          
水野十郎左衛門    菊五郎

人気狂言でよくかかるけど、後味悪いからあんまり好きじゃないのよね。最後の水野屋敷の場がなければまだ良いんだけどなあ。長兵衛が家を出るところで終わるわけには、やっぱりいかないか。
團十郎の長兵衛は、人物が大きくて腹が据わっていて、文句なしにカッコイイはまり役。この役は吉右衛門も当たり役だが、吉右衛門と比べると團十郎のは、ドスが効いているというか、何のかんの言っても長兵衛はやくざの元締めなんだね~、という感じが色濃い。まあ、そりゃこの迫力でこられたら、水野の手下なんて相手じゃないわな。
一方で息子への愛情に締め付けられ、「こんな稼業には就くなよ」という台詞が切ない。だから余計に、最後の死が悲しくて観ていて辛い。

時蔵のお時が、親分のおかみさんらしい落ち着きと、夫を止められない悲しさを見せてさすがに上手い。時蔵は菊五郎とのコンビが多いが團十郎とも良い釣り合い。
菊五郎の水野も手に入った役。あまり気の良い役ではないだろうが、悪役とはいえ旗本の貫禄を見せた。
左團次以下、長兵衛の子分には若手が顔をそろえた。右近や萬太郎は初役だろうか、フレッシュな顔ぶれ。

夜の部の弁天娘と言いこれと言い、團菊祭らしい演目が揃って今月の松竹座は見応え充分。案外大阪ではかからない演目もあるし、お客さんも大喜びのようだった。

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劇場ロビーにはおなじみ九代目團十郎と五代目菊五郎の胸像と写真パネルが飾られていた。
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