SSブログ

琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派―展 [美術]

1月25日(火) 出光美術館
index_ph002.jpg

普段は日曜日でも割とゆっくり見られる出光美術館だが、この日は平日にしては混んでいた。やっぱり琳派は人気があるのかな。
酒井抱一生誕250年記念として、二期に分けて開催の展覧会。第一部は「煌めく金の世界」として、琳派の始祖とも言える光悦・宗達から光琳までの時代を中心に特集して、主に金箔を使った屏風絵を中心とした展示になっている。

「1章 美麗の世界」 では、光悦の書と宗達の絵による作品を堪能できる。このコラボはたくさんあって、他の展覧会でもよく目にするけれど、「字を書く」こと自体が芸術であるという、日本美術ならではの世界で、本当にすごいと思う。もちろん宗達の絵も美しいのだが、その地模様を生かして散らし書き分かち書きされた字そのものがデザインとなるなんて。書の教養がないので、こういう字が読めないのがほんとに悲しい。

「2章 金屏風の競演」 では、宗達と、宗達の工房である伊年印のある作品群。一般に私などが琳派というと思い浮かべる、金地に草花の描かれた繊細で華麗な絵の数々。宗達というと誰でもまず知っているのはかの「風神雷神図」なので、何となくああいうユーモラスで大胆な画風なのかと思いがちだが、実は全然そうじゃなくて、第1章の光悦との共作でもそうだが、優雅で、写実的な草花などの描写を、豪華な金箔に上手く溶けこませる巧みなデザイン力が魅力。

伊年.jpg
月に秋草図屏風(右隻) 伝 俵屋宗達
半月に照らされて浮かび上がる小さな花たち。背景にはうっすらと薄。月が黒くて強く見えるが、たぶん元々は銀箔だったのが変色したのではないか。銀色に光る月に脳内変換してみると、それは優美な月景色。

「3章 光琳の絵画」は、琳派の名前の由来伴っている光琳の世界。光琳は宗達より100年遅れて生まれていて、直接の師弟関係とかはないが、事実上の後継者にして、独自の画法を発展させた巨匠中の巨匠。なんと言っても構図の大胆さが目を奪う。

光琳.jpg
紅白梅図屏風(左隻)
熱海のMOA美術館にある有名な紅梅白梅図を彷彿とさせる。可憐な花と力強く伸びた枝ぶりの兼ね合いが大胆で面白い。
右そうa.JPG
細部で目についたのが、右隻の下の方、金と黒い川(?)との境目のところ、金箔をわざと切ったままの四角い形を残して貼り付けてある。すごいモダンな感じで、へえっ、と感心してしまった。

「4章 琳派の水墨画」 琳派と水墨画というのは意外な感じがしてしまうが、どうしてどうして、宗達も光琳も、金の屏風とは違う世界を水墨画では見せてくれる。 

I竹虎図.JPG
竹虎図 光琳
日本美術の虎の絵って、どうしてどれもこれもこうユーモラスなのかしら。光琳のこの虎もまるで漫画のように可愛い虎。本物を見ずに描いているからだろうけれど、これじゃまさしく牙を抜かれた何とやら、だわ~。

他にも、光琳の弟乾山のデザインが楽しい器なども見られて、琳派を満喫できる展覧会。前期は2/6まで。後期は抱一、其一を中心とした展示でこちらも必見。
nice!(7)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 7

コメント 2

リュカ

あ、私も思いました!
金箔を四角い形を残して貼り付けてあるところ。本当にモダンな感じがしました^^
後期も楽しみです!
by リュカ (2011-01-30 21:44) 

mami

リュカさん、
江戸時代の絵があんなに斬新だなんて、すごいですね~。
ほんとに興味深い展覧会でした。後期も見逃せませんね。
by mami (2011-01-31 00:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。