国立劇場初春歌舞伎公演 [舞台]
1月17日(月)
毎年正月恒例となっている菊五郎劇団による復活狂言。今年のも約200年ぶりの上演。
通し狂言 四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)
序 幕 相馬御所の場
二幕目 一条戻橋の場
三幕目 第一場 羅生門河岸中根屋格子先の場
第二場 同 二階座敷の場
第三場 同 花咲部屋の場
四幕目 第一場 二条大宮源頼光館の場
第二場 同 寝所の場
大 詰 北野天満宮の場
(出演)
尾 上 菊 五 郎
中 村 時 蔵
尾 上 松 緑
尾 上 菊 之 助
坂 東 亀 三 郎
坂 東 亀 寿
中 村 梅 枝
尾 上 右 近
中 村 萬 太 郎
尾 上 松 也
河原崎 権 十 郎
市 村 萬 次 郎
市 川 團 蔵
坂 東 彦 三 郎
澤 村 田 之 助
今回のは音羽屋のお家芸「土蜘蛛」もからんで、平将門の遺児が国家転覆を狙うのが大筋。とは言ってもいつものように娯楽味たっぷりで、お正月だし難しいことは言わずに楽しみましょう、と言う雰囲気なのも例年通り。
菊五郎は二役。隈を取った勇壮な良門と、鳶頭実は渡辺綱。この人らしい本領はやはり鳶頭での時で、江戸前の気っ風の良い颯爽とした二枚目振り。こういうの本当にかっこいいなあ。
菊之助がその菊五郎といい仲になる女郎、実は土蜘蛛の精。土蜘蛛の精と言っても傾城のなりで、蜘蛛の糸を撒きながら宙乗りを見せるのだが、その時の艶然とした表情に凄味があってますます女っぷりが上がったなあ。女郎花咲としてはちょっとコミカルな面も見せて可愛い~。最後の場面では一条院としても登場、凛々しいお姿も見せてサービス満点。
時蔵は茨木婆と源頼光。茨木婆ではやや大げさなくらいに年寄りの腰の曲がった歩き方など見せて笑わせ、本役の頼光ではさすがに気品のある貴公子と、まったく違う二役を演じ分けてさすが。今回は綺麗な女形姿が拝見できず、また菊五郎とのゴールデンカップルも見られなかったのはかなり残念だが。
松緑が盗賊と平井保昌。ちょっと二人の演じ分けが際立たなかったかなあ。特に保昌の方でもっと懐深い切れ者の雰囲気がほしいところ。
團蔵が手に入った三枚目敵。
田之助も元気な姿を見せて何より。
梅枝が渡辺綱の許嫁で、菊之助と菊五郎を張り合うという役どころ。品の良いお姫様らしい美しさがあり、以前に比べて硬さもだいぶ取れてこういうちょっとコミカルな場面でも柔らかくこなしていて、ますますの成長。いや~、伸び盛りだねえ。
そのほか、右近、松也を始めとする若手も良い役をもらってそれぞれ活躍。特に右近は序幕では女形でひと踊りして、後半では頼光の従者で凛々しい若者、となかなかの活躍。去年の同じ正月公演では、踊りはともかく芝居はまだまだ、と思ったのがかなりの進歩。若いって凄いね。この春高校卒業だって。先が楽しみ。
お楽しみのパフォーマンスでは、子役の女の子達にAKB48のまねをさせて踊らせたり、紅長さんのお土砂のぱくりで「戦場のカメラマン」が登場したり、とおふざけも満載なのが楽しい。あ、でも巨大蜘蛛の張りぼては不気味すぎ~!
丸本物などとは対極にあるような雰囲気だが、これも歌舞伎。なんたって江戸時代には庶民の娯楽だったんだから、と言う原典のパワーのようなものも感じる。こういう作品を大真面目にやって楽しませてくれる音羽屋さんはやっぱり凄いと思う。
ただ、毎年の復活狂言を音羽屋だけに任せておいて良いのか、と言う気もする。もっと他の家の人たちも加わって経験した方が良いんじゃないのかな、歌舞伎の将来のためにも。
毎年正月恒例となっている菊五郎劇団による復活狂言。今年のも約200年ぶりの上演。
通し狂言 四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)
序 幕 相馬御所の場
二幕目 一条戻橋の場
三幕目 第一場 羅生門河岸中根屋格子先の場
第二場 同 二階座敷の場
第三場 同 花咲部屋の場
四幕目 第一場 二条大宮源頼光館の場
第二場 同 寝所の場
大 詰 北野天満宮の場
(出演)
尾 上 菊 五 郎
中 村 時 蔵
尾 上 松 緑
尾 上 菊 之 助
坂 東 亀 三 郎
坂 東 亀 寿
中 村 梅 枝
尾 上 右 近
中 村 萬 太 郎
尾 上 松 也
河原崎 権 十 郎
市 村 萬 次 郎
市 川 團 蔵
坂 東 彦 三 郎
澤 村 田 之 助
今回のは音羽屋のお家芸「土蜘蛛」もからんで、平将門の遺児が国家転覆を狙うのが大筋。とは言ってもいつものように娯楽味たっぷりで、お正月だし難しいことは言わずに楽しみましょう、と言う雰囲気なのも例年通り。
菊五郎は二役。隈を取った勇壮な良門と、鳶頭実は渡辺綱。この人らしい本領はやはり鳶頭での時で、江戸前の気っ風の良い颯爽とした二枚目振り。こういうの本当にかっこいいなあ。
菊之助がその菊五郎といい仲になる女郎、実は土蜘蛛の精。土蜘蛛の精と言っても傾城のなりで、蜘蛛の糸を撒きながら宙乗りを見せるのだが、その時の艶然とした表情に凄味があってますます女っぷりが上がったなあ。女郎花咲としてはちょっとコミカルな面も見せて可愛い~。最後の場面では一条院としても登場、凛々しいお姿も見せてサービス満点。
時蔵は茨木婆と源頼光。茨木婆ではやや大げさなくらいに年寄りの腰の曲がった歩き方など見せて笑わせ、本役の頼光ではさすがに気品のある貴公子と、まったく違う二役を演じ分けてさすが。今回は綺麗な女形姿が拝見できず、また菊五郎とのゴールデンカップルも見られなかったのはかなり残念だが。
松緑が盗賊と平井保昌。ちょっと二人の演じ分けが際立たなかったかなあ。特に保昌の方でもっと懐深い切れ者の雰囲気がほしいところ。
團蔵が手に入った三枚目敵。
田之助も元気な姿を見せて何より。
梅枝が渡辺綱の許嫁で、菊之助と菊五郎を張り合うという役どころ。品の良いお姫様らしい美しさがあり、以前に比べて硬さもだいぶ取れてこういうちょっとコミカルな場面でも柔らかくこなしていて、ますますの成長。いや~、伸び盛りだねえ。
そのほか、右近、松也を始めとする若手も良い役をもらってそれぞれ活躍。特に右近は序幕では女形でひと踊りして、後半では頼光の従者で凛々しい若者、となかなかの活躍。去年の同じ正月公演では、踊りはともかく芝居はまだまだ、と思ったのがかなりの進歩。若いって凄いね。この春高校卒業だって。先が楽しみ。
お楽しみのパフォーマンスでは、子役の女の子達にAKB48のまねをさせて踊らせたり、紅長さんのお土砂のぱくりで「戦場のカメラマン」が登場したり、とおふざけも満載なのが楽しい。あ、でも巨大蜘蛛の張りぼては不気味すぎ~!
丸本物などとは対極にあるような雰囲気だが、これも歌舞伎。なんたって江戸時代には庶民の娯楽だったんだから、と言う原典のパワーのようなものも感じる。こういう作品を大真面目にやって楽しませてくれる音羽屋さんはやっぱり凄いと思う。
ただ、毎年の復活狂言を音羽屋だけに任せておいて良いのか、と言う気もする。もっと他の家の人たちも加わって経験した方が良いんじゃないのかな、歌舞伎の将来のためにも。
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