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9月文楽公演・第二部  [舞台]

9月20日(月)
先週よりはちょっと涼しくなったけどまだ暑い。でも国立劇場の中は冷房が効きすぎていて寒い位なのよね。もうちょっと加減してほしいけど、でも出演してる人は汗かいてらっしゃるから仕方ないか。
千秋楽を観劇。休日とあって大入り満員。

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一・勢州阿漕浦(せいしゅうあこぎがうら)
    阿漕浦の段  松香・津國・文字栄、團吾
    平治住家の段  住・錦糸
玉女の平治、勘彌のお春、玉也の治郎蔵、清十郎の代官

全く初見。何しろ84年以来の上演という珍しい作品。まだ文楽見始めてないもん。
坂上田村麻呂が三種の神器の一つ十握の剣を探す話が縦軸で、神域のため禁漁の伊勢の阿漕ヶ浦で密漁しようとする話が交錯する。

なんと言っても86歳にして初役で務めるという住大夫が圧巻。密漁を犯した罪と親への孝行に苦悩する平治と、妻お春に老母の悲しみ、剣を取り返しに来た治郎蔵との緊迫したやりとり、さらに治郎蔵が実は平治の家来筋とわかるどんでん返し、と言った変化に富んだ状況を鮮やかに描き出す。語り分けのきっちりさと情の深さと、やっぱり住大夫さんはすごい。

人形も玉女の平治に律義で親孝行な男の苦悩する様子がよく出、玉也の治郎蔵が大きな動きで前半の荒々しさと後半戻りの後の対称をよく見せた。

二・桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)
    石部宿屋の段  三輪・芳穂、清志郞・寛太郎
    六角堂の段  文字久・富助
    帯屋の段  嶋・清友、千歳・清介
    道行朧の桂川  津駒・文字久・相子・つばさ・希、寛治・喜一朗・清丈・寛太郎・清公
勘十郎の長右衛門、簑助のお半、紋壽のお絹、和生の繁斎

六角堂から帯屋はよくかかる(前回観たのは玉男さん最後の舞台だったなあ)が、石部宿屋と道行きは初見。

「帯屋」の嶋大夫がとにかく傑作。いつもしっとりとした情のある語りで泣かせる嶋さんだが、ここではもちろんそういう場面もあるのだが、儀兵衛と長吉のチャリ場が可笑しくて可笑しくて。笑いの止まらない儀兵衛と頭の弱い長吉のやりとりを、絶品な語り口で聞かせてもらった。これを至芸というのだろう。
もちろん、長右衛門の苦しさ、お絹の嘆き、親繁斎の毅然とした態度も、後妻おとせの嫌みな様子もきっちり。
これだけ人数が多いのに目を閉じていても誰がしゃべっているのか歴然とわかる。
嶋さんで好きなのは、若い娘の台詞の可愛さなのだが、この場ではお半が出てこないのだけが残念。

直後に出てくる千歳大夫は割を食った感じで気の毒。いささか勢いがありすぎてこの場のしめった雰囲気にそぐわなかったような気がする。

前の六角堂では文字久がお絹の悩める様子をじっくり聞かせてなかなか。文字久さん声に艶が出てきたような。

人形では簑助のお半が可愛らしくて、いじらしくて、切ない女心を見せていつもながら圧倒的な存在感。最後の道行きでのくどきは簑助さんの魅力炸裂。
長右衛門は辛抱役。動きもそれほどなくて、じっと耐えてる場面が多いが勘十郎がさすがにきっちりと、律義ながら昔は心中ごとを起こしたこともある、若いお半にも慕われる色男の雰囲気も出した。
紋壽のお絹に賢妻ぶりが見え、和生の繁斎も道理をわきまえた隠居の情のある様子。

今月は昼夜とも見応えがあって充実。人間国宝の皆さんの健在もうれしい。
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