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團菊祭五月大歌舞伎・昼の部 [舞台]

5月5日 大阪松竹座

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4月の歌舞伎座閉場フィーバーも冷めやらないうちに5月の公演の幕が開く。役者さんたちとしてはどこの劇場であっても芝居ができれば幸せだろうし、観る方は新橋演舞場を始として方々の劇場をさまよって行くしかない。
毎年5月、歌舞伎座での恒例だった團菊祭が大阪で行われるというのも、歌舞伎座建て替えがあってこそということで、團菊という江戸歌舞伎の大名跡が揃って大阪の舞台を踏むというのも、上方の観客には珍しく、心待ちにされていた方も多いことだろう。

一、摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
  合邦庵室の場             
玉手御前  菊之助              
俊徳丸  時 蔵              
浅香姫  梅 枝              
奴入平  團 蔵             
母おとく  東 蔵             
合邦道心  三津五郎

私が今までに見た玉手御前は、6代目歌右衛門と藤十郎の二人だけ。そう言う女方の大役に菊之助が挑む。それも花形歌舞伎や鑑賞教室じゃない公演で。配役を見たときは、正直言って驚いた。ちょっと早いんじゃない?という気もしたが、さて。

菊之助は、花道の出から、憂いと決意を秘めた表情が美しい。頭巾代わりの片袖を被っていても、隠しきれない若い奥方の色香が匂い立つよう。
中に入って親にいくら説教されても俊徳丸を諦めないと言い張る様子は気の強い娘の風情で、俊徳丸と浅香姫を前にして俊徳丸に言い寄る姿には狂おしいまでの女の情念が見える。
ただの綺麗で品のいいお姫様でない、いわば「女の業丸出し」のここまでの玉手を、菊之助はあっぱれ見事に演じてのけた。親に愛想を尽かされても恋に生きる女の凄みと怖さと美しさを同時に見せつけて。
前半でここまで観客をぐいぐい引っ張れれば、後半手負いとなっての述懐などは勢いで見せられる。泣かせるのははるかに易しい。

これまで藤十郎などのを見て唯一不満だったのは、継母とはいえ玉手はまだ19才という俊徳丸ともさして年齢が違わない若さなのが納得できなかったことだが、菊之助だと実年齢も近いせいかそこが無理なく感じられる。その若い継母が、真実の恋を見せかけの恋に裏返して自分の命と引き替えに義理の息子を救う哀れさが、それはそれは強い説得力を持って胸を打つのである。
全くもって、失礼ながらここまでやるとは思っていなかった。大健闘とか、頑張った、とかじゃなくて、これはもうほんとに立派な出来。菊之助の当たり役になりそう。

今月四役のうち二つが老け役という三津五郎の合邦が、元は武士の気概ある様子と、娘への愛情を見せてさすがに大きい。
東蔵の母おとくも手堅い。
時蔵の俊徳丸が品のある中に悲しみを見せてさすがに美しい。
梅枝の浅香姫も楚々とした様子が似合いの風情。
團像の入平も手に入った様子。

二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
           
武蔵坊弁慶  團十郎            
富樫左衛門  菊五郎             
亀井六郎  家 橘             
片岡八郎  権十郎             
駿河次郎  高麗蔵            
常陸坊海尊  秀 調              
源義経  藤十郎

團十郎の弁慶に菊五郎の富樫。もうなにをかいわんや、である。この1月にも観たばかりだが、團菊祭といえばこれでしょう、といったところか。
改めて言うこともないが、團十郎が弁慶を勤められるほどにお元気になられたことを、心から喜びたい。
義経は藤十郎、今月この一役だけのゲスト出演だが、さすがに品と情のある風情で、團菊に花を添えた。

三、天衣紛上野初花
  河内山(こうちやま)
           
河内山宗俊  三津五郎            
松江出雲守  錦之助             
宮崎数馬  巳之助             
腰元浪路  右 近             
北村大膳  團 蔵           
高木小左衛門  東 蔵

團菊祭といいながら、実は團十郎と菊五郎は、昼夜一役ずつだけで、代わりといってはなんだが三津五郎と菊之助が四役と活躍している。

三津五郎の宗俊は、上野の使僧と偽っているところが、なんだか品がありすぎて「本物の使僧」みたいに見えてしまうのが、おかしな話ではあるがちょっと変。今回は「質屋」の場が無く、松江候屋敷からの上演なのだが、なんにも予備知識なく見た人は偽物と思わないかもしれない。それが「上手く化けている」のではなくて、物堅くて面白味に欠けるように見えてしまったのが難点。すごく微妙な違いなのだが。
終盤の化けの皮が剥がれてからの開き直ったところは、小気味よく啖呵も切って面白く見せただけに、ちょっと惜しい出来。とは言えまだ二日目、回を重ねれば変わってくるかもしれない。

錦之助の松江候は、品行の悪いお殿様には見えないが(苦笑)、癇癪持ちのお馬鹿ながら、殿様らしい品もある様子。
巳之助の数馬が律儀な若侍ぶりでなかなかみせた。
東蔵と團蔵も手に入った様子で、特に團蔵の大膳が終盤三津五郎との絡みを面白く見せた。
右近の波路も楚々とした風情で可憐さがあり上々。
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