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御名残四月大歌舞伎・第三部 [舞台]

4月12日

元々この日は第三部だけ見るつもりで前売りを買ってあったのだが、数日前、ふとチケットWEB松竹を覗いたら、第一部のチケットが売っているじゃありませんか。完売のはずだったのに、時どきこういう事があるんですよね。一等しかなくて、それも2階の全然よくない席だったんだけど、これは播磨屋の熊谷を二度観ておけというチケットの神様のお告げに違いない(笑)、と勝手に思い込み、ポチッとクリックしてしまったのでした。

ということで、第一部と第三部の変則ダブルヘッダーだったわけですが、第一部のレポは二度目に観た後に書こうと思います。

いよいよ現歌舞伎座最後の月。平日だけどもちろん満員。幕見の列も凄くて、劇場前の自動販売機でお茶を買うのに一苦労。カメラを持ってロビーをウロウロしている人も多く、ただでも混雑しているのにちょっと邪魔。大して劇場に思い入れもない、初めて来た人ほど周りの迷惑も考えずにそういう行動をするようだ。幕が開く直前まで客席で写真撮ってる人もいっぱいいるし。一体何しに来たの~?と思ってしまった。

一、実録先代萩(じつろくせんだいはぎ)
乳人浅岡  芝 翫            
松前鉄之助  橋之助              
局錦木  萬次郎              
局松島  孝太郎             
腰元梅香  児太郎              
亀千代  千之助              
千代松  宜 生              
局呉竹  扇 雀              
局沢田  芝 雀            
片倉小十郎  幸四郎

「伽羅先代萩」と「重の井の子別れ」をごっちゃにしたような話。なんだかメリハリのない話で、目立つのは子役ばかり。重の井と違って、浅岡が子供を追い返す理由が説得力がなく、若君が良いって言ってるんだから側に置いてやればいいじゃないの、とついつい思ってしまった。
芝翫はさすがに若君の側近くにいる乳母の威厳と、子を思って内心で泣く情を見せて上手いが、現歌舞伎座最後の舞台、もっと他に良い役はなかったのかしらと思う。

子役二人が素直な演技で大活躍。千之助が一度台詞を度忘れして、役者も客席も一瞬凍りついてしまったが、無事に思い出したかなんとか続いてやりおおせて、子供ながらその舞台度胸には感心した。
幸四郎の片倉も大してしどころのない役ながら貫禄で見せた。
局陣も豪華。

  歌舞伎十八番の内
二、助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
花川戸助六  團十郎            
三浦屋揚巻  玉三郎             
通人里暁  勘三郎          
福山かつぎ寿吉  三津五郎            
三浦屋白玉  福 助         
男伊達 山谷弥吉  権十郎         
 同   田甫富松  松 江         
 同   竹門虎蔵  男女蔵         
 同  砂利場石造  亀三郎         
 同   石浜浪七  亀 寿            
傾城八重衣  松 也            
 同  浮橋  梅 枝            
 同  胡蝶  巳之助           
 同  愛染  新 悟              
金棒引  種太郎               
 同  萬太郎               
 同  廣太郎               
 同  廣 松             
禿たより  玉太郎         
白玉付番新梅ヶ香  歌 江             
奴奈良平  亀 蔵            
国侍利金太  市 蔵             
遣手お辰  右之助           
番頭新造白菊  家 橘             
朝顔仙平  歌 六             
曽我満江  東 蔵          
三浦屋女房お松  秀太郎             
髭の意休  左團次         
くわんぺら門兵衛  仁左衛門           
白酒売新兵衛  菊五郎               
口上  海老蔵

現歌舞伎座最後の演目。終わりを飾るに相応しいこの豪華な顔ぶれを見よ!という感じですね。
去年の顔見世では仁左衛門の助六を見て、あれはあれで素晴らしかったけど、團十郎のを見ると、やっぱり助六は江戸前だなあ、と思う。花道での出端のゆったりとしてしかしキリッとした風情。一つ一つの型がぴたっと決まった様の気持ちよさ。さすが市川宗家、当代一の助六は自分だ、という自信のみなぎるような格好良さ。

玉三郎の揚巻も周りを圧するような美しさ。悪態の初音も、遊女の意気地と貫禄を見せてさすがの出来。まさに目の保養。

菊五郎の白酒売りがおっとりとした和事の風情で無理なく笑わせる。といって変になよなよせず、本当は武士という心が見えるのが上手いところ。

左團次の意休も手に入った様子。

他も豪華すぎて一々書けないくらいだが、仁左衛門のくわんぺら門兵衛、三津五郎の福山のかつぎが何ともごちそう。仁左衛門なんて、本来こういう三枚目をやる人じゃないのだが、悪態をつくのも小気味よく、軽妙な江戸っ子の味わいがあって粋。三津五郎も颯爽とした雰囲気がさすがにいなせ。

福助の白玉も美しく、貫禄を見せた。来月は揚巻だがこれも楽しみ。
勘三郎の通人が当たり役で、こういう愛嬌のある役はこの人は本当に上手い。去り際に花道で「この劇場でたくさん夢を見させてもらった」と一くさり語って拍手をもらっていた。
東蔵の満江も貫禄と親の情のある様子が上手い。ただ、この顔ぶれの豪華さから行くと、ここは一つ藤十郎か田之助に出てほしかった気はする。

その他ならび傾城、金棒引きまで御曹司が出る(種ちゃんが出てきたのにはびっくり)、まさに花形総出の豪華な舞台。歌舞伎座最後の舞台を締めくくるのにこれほど相応しい演目もないだろう。これだけの顔ぶれが揃うことはもうないだろうなと思うような華やかさで、観ることができて本当によかったと思う。
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しーちゃん

いよいよ東銀座の名所ともいえる歌舞伎座が取り壊されるんですか、残念な気がしますね。もう30年も前、東京で学生生活をしていた頃、歌舞伎座には時々行きました。三階席はわりと安かったですし、一幕見はさらに安くてよかったです。(ただ花道が見えなくて悔しい思いもしました)玉三郎と孝夫(仁左衛門)のファンというミーハーでしたが。しかし、玉三郎様、今も変わらずお美しくて、すごいです。
by しーちゃん (2010-04-16 00:56) 

mami

しーちゃんさん、こんばんは。nice!&コメントありがとうございます。
昔の歌舞伎座に通われていたんですね。私はこの歌舞伎座はここ10年ちょっとのまだまだ新参者です。
たくさんの人の思い出が詰まった歌舞伎座がなくなってしまうのは寂しいけれど、新しい歌舞伎座が出来るのを楽しみに待ちたいと思います。
玉様も仁左様も、いつまでも若々しくて本当に素敵ですね!また機会を見て歌舞伎をご覧になって下さいね。
by mami (2010-04-16 22:53) 

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