SSブログ

松竹座壽初春大歌舞伎・夜の部 [舞台]

1月2日

100104_1554~01.jpg

今年の初芝居は、3ヶ月連続の「忠臣蔵」から。
本当は、いくら名作でも正月から忠臣蔵は重いなあ、と思って文楽を先に見ようと考えていたんですが、4日の松竹座の夜の部が貸し切りだそうで、スケジュール的にこの日に夜の部は観るしかなくて‥‥。まあ、賑やかな七段目から始まるのがせめてもの幸い(?)と言うことで。

去年11月に歌舞伎座でも通しがあったばかりの忠臣蔵だが、今月はなにしろ藤十郎が4役勤めて全段出ずっぱりという大奮闘公演。また上方流と言うことで東京とは随所に違いがあって、その違いを探しながら観るのも楽しい。

仮名手本忠臣蔵
一・七段目 祇園一力茶屋の場
藤十郎の由良之助、秀太郎のお軽、翫雀の平右衛門、壱太郎の力弥

11月は七段目は仁左衛門の由良之助だったが、同じ上方でもそれとも少し違う。
仲居たちの見立遊びがないのは同じだが他に、平右衛門が東へのお供を訴えるところで由良之助が「口の軽い口軽じゃの……」とか言う台詞がなかったり、由良之助が着物を着替えないとか、お軽の着物の柄とか団扇を持たないとか……。細かいところがいろいろ。

藤十郎は、普段立ち役をするとしても近松のつっころばしのような役のイメージが強くて、由良之助がニンとは思えないのだけれど、それでもそれなりに見せてしまうところが役者としての懐の深さと言うことだろう。特にこの七段目では、花街で遊び慣れた粋な雰囲気がしっくり身に付いていて柔らかみがあって上手い。だが後半本音を見せるところなどはやはりちょっと物足りない気もする。

秀太郎のお軽がさすがにはんなりとした色気とかわいげがあるところを見せ、勘平の死を知ってからの悲嘆にくれる様子に哀れさがあって上々。
翫雀の平右衛門も勢いと東行きを切望する懸命さが見えニンにあった様子。

八段目 道行旅路の嫁入り
藤十郎の戸無瀬、扇雀の小浪、翫雀の奴可内

この段は歌舞伎では滅多にやらないかも。一昨年の平成中村座ではやっていたが、あの時は奴なんか出てこなかったと思うので、ここも上方流なのかな。
藤十郎の戸無瀬は、これは本役なので安心して観ていられる感じ。
扇雀も楚々とした雰囲気で行儀良い。
翫雀が奴らしく剽軽な味があり上手い。

十段目 天川屋義平内の場
我當の義平、藤十郎の由良之助、吉弥の義平妻おその、薪車の千崎弥五郎

十段目を初めて観た。「天野屋利平衛は男でござる」って台詞は有名な割に滅多に上演されない。上方では名前も違うが。
我當が男気のある義平の苦悩を見せてさすがに立派。
吉弥のおそのも理由も明かされずに離縁される内儀の哀しさを見せて上手い。
でも最後はハッピーエンドとは言え、由良之助ら浪士が義平の心底を疑って試す話と言うことであんまり気持ちの良いものでもない気がする。

十一段目 師直館 表門討ち入りの場
           広間の場
           柴部屋本懐焼香の場
藤十郎の由良之助、壱太郎の力弥
江戸型では一般に泉水の場が多いが、ここでは広間の場で、壱太郎の力弥が立ち回りを見せる。
焼香の場では、勘平の代わりに平右衛門に焼香させたり、勘平の遺品の縞の財布を供えたりするのが上方流。
最後は勝鬨をあげてめでたく幕。

夜の部を七段目から始めると、正直言って七段目以外はこれと言って見所があまりなくてちょっと物足りない感じ。これなら八、十段目は止めて九段目をやってくれればいいと思うくらいだが、役者が揃わないと出来ない九段目は今月の出演者だけではいささか無理かなあ。大奮闘の藤十郎は立派だが、やはりここに仁左衛門がいればと思わなくもない。
しかし藤十郎のお元気さには脱帽。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。