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「美しきアジアの玉手箱」展 [美術]

8月31日

サントリー美術館
シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol04/index.html

台風11号が関東に接近中の朝、早めに行って帰ってこようと出かけた。11時ちょっと前に東京ミッドタウンに着いたが、サントリー美術館のあるガレリアは11時開店なのでシャッターが降りていて入れない。あれ~、美術館は10時からのはずなのに、とウロウロするうちに結局11時になってしまった。帰ってからこの記事を書こうと美術館のHPを覗いたら「11時までの入り方」というページがあったけど、ガレリア内に看板を立てるとか、チケットに案内図を載せるとかしてもらわないと不親切だと思う。

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シアトルといえば、イチローのいるマリナーズのあるアメリカ西海岸の都市。そこにある美術館所蔵の東洋美術をまとめて紹介するアメリカ国外では初めての展覧会。
展示はおおざっぱに言って、3分の2が日本、残りが中国を初めとするアジアの作品。
まず日本美術のコーナーでは、古くは縄文時代から、いちばん新しいもので明治時代のものまで。分類も絵、陶磁器、蒔絵、など多岐にわたっていて、いささか百花繚乱的で的が絞れていない気はするが、まあ所蔵品展であるから仕方ないか。

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中でいちばんの見物は、宗達の画と光琳の書による「鹿下絵和歌巻」。
この巻物は今では分断されて、前半は細切れになっていろいろな美術館や個人の所蔵となっているが、後半部分は一括してシアトル美術館所蔵になっているということで、今回はその後半部に加えて、日本国内にあるほかの部分も多く集めて一括に展示されている。
この前半の一部は、これまでにも展覧会で何度か見たことがあるが、これだけの長い巻物として観るのはもちろん初めてで、全体をほぼ通して観ると宗達が同じ鹿でも様々に描き分けているその工夫が良く解って面白い。動きのあるものないもの、色の塗ってあるものないもの、たくさんの群と一頭だけの絵、どれも筆致の早いまるで一筆書きのような絵だが、宗達の力量が見事に表れた名品で、もちろん光悦の書による歌がその絵と対をなしている。この絵巻を観るといつも思うのは、絵と書とどっちを先に描いたのかしら。やっぱり絵かなあ。

なおシアトル美術館のHPでは、この絵巻の全体図をデジタル画像で再現して、和歌の解説付きで見せてくれる。日本語表示もあってとても良くできているので、ぜひご覧下さい。
http://www.seattleartmuseum.org/exhibit/interactives/deerscroll/enter.asp#

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同じく絵でもう一つの注目作品はこの「烏図」。17世紀前半のものらしいが作者は不明。
こうして小さくして見ると、金と黒の模様のようだが、大きな屏風の実物を見ると一羽一羽の烏がきちんと目や羽根、ちろりと見える舌まで描き込まれていて結構不気味。日本画で鶴や鷺を描いた絵は多いが、烏をこれだけたくさん描いたのは珍しいのではないかしら。一体どんな場所に置かれていたんだろう。遠くからパッと見たとき、私はちょっとエッシャーのあのだまし絵(タイトル忘れました)を思い出してしまった。
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この絵の反対側に展示されていた都路華香の「波千鳥」も良かった。絵葉書がなかったのが残念。明治時代の画家らしく、私は初めて名前を見た気がするが、「烏図」とは対照的に、ほとんど水墨画のように淡彩でひたすら波を描き込んだ上に、数羽の千鳥が飛んでいる。構図はとても単純だが、ほとんど偏執的なまでに描き込まれた波を見ていると吸い込まれてしまいそうな、気が遠くなりそうな気がして、明治にしてはやけにモダンな雰囲気だった。

意外に少なかったのが浮世絵。海外でいちばんうける日本美術は浮世絵だと思うけど。単に今回持ってこなかったのか、コレクターの趣味に合わなかったのか。それでも北斎など数点は展示。
焼き物は染め付けや織部、志野焼など。割と渋い趣味かな。

中国美術になると時代はもっとさかのぼって、新石器時代の物から。青銅の器に施された装飾が大胆で面白い。水墨画は日本のより華麗な感じ。
数は少ないがその他のアジアの美術もあって、韓国の陶磁はおなじみだが、タイやインドネシアの仏像などはやっぱり日本のと顔つきが違う。

インドラ2.JPG
中で目を引いたのが、ネパールの「インドラ座像」。
ちょっと艶めかしいポーズと中性的な顔つきが何とも言えず美しい。装飾に使われた宝石も控え目ながら光っていてとても綺麗。こんな仏像を拝んでいたら、煩悩が起きてしまいそう(笑)。

会期は9月6日まで。
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