NINAGAWA十二夜 [舞台]
6月28日 昼の部 新橋演舞場
斯波主膳之助/獅子丸実は琵琶姫 尾 上 菊之助
織笛姫 中 村 時 蔵
右大弁安藤英竹 中 村 翫 雀
大篠左大臣 中 村 錦之助
麻阿 市 川 亀治郎
役人頭嵯應覚兵衛 坂 東 亀三郎
従者久利男 尾 上 松 也
海斗鳰兵衛 河原崎 権十郎
従者幡太 坂 東 秀 調
比叡庵五郎 市 川 團 蔵
舟長磯右衛門 市 川 段四郎
左大弁洞院鐘道 市 川 左團次
丸尾坊太夫/捨助 尾 上 菊五郎
千秋楽の昼の部を拝見。
初演から4年目、今年はロンドン公演も成功させての凱旋公演というところ。
菊之助、菊五郎を初め配役は前回と同じ。さすがにどの役者も役が手に入っていて、安心して観ていられる。
中でもやはり主演の菊之助は、一層美しさにも磨きがかかり、演技も琵琶姫から獅子丸へ、あるいはその反対の変化がさりげなく自然で上手い。
菊五郎も坊太夫での徹底したお馬鹿ぶりと、飄々とした捨助の演じ分けがこの人ならではの絶妙さ。
時蔵の織笛姫は正統派赤姫。だから何もおかしいことはやっていないのに、それ故に笑えてしまう可笑しさを大まじめにやっているのがこの人らしい。時蔵と錦之助が、周りに乗らずに至極まっとうに歌舞伎をやっているから、この作品が「歌舞伎」として通用しているのだと思う。
亀治郎の麻阿も相変わらずの弾けっぷり。コメディアンぶりに拍車がかかってるなあ。しかし、女形としての代表作がこれになっちゃっていいのか、亀ちゃん。
翫雀はロンドン公演用に仕込んだか、時々英語を交ぜて笑いを誘った。前の東京公演では確か「巨人の星」の花形満風、というド気障な仕草を見せていたが、今回はそれはなかったかな。やっぱり若い人にはわからないからやめたのかしら。
全体的に初演時より無駄も刈り込まれて、スピーディな展開。役者も三演目で演技も安定し、密度も上がった。
だが、観る方としては、初めての時こそ斬新なセットや音楽、歌舞伎にはないシェークスピアらしい台詞の新鮮さに驚き、感嘆したが、さすがに今回それはもうない。それどころか、理屈たらしい台詞の応酬がいささか退屈に感じられさえした。亀治郎の匍匐前進も、菊五郎の鬱金色の衣装も、やるのがわかって観ているとそれほどおかしくもない。
古典歌舞伎なら、次の台詞さえわかっていても、今日の役者がそれをどう言うか、を楽しみに観る。
でもこの作品にはまだそれほどの力はないのだろう。これがこの先、再演を重ねて、新しい歌舞伎のレパートリーになるためには、他の配役でも演じられる必要があるのだが、今のところそれは想像できないのが正直なところ。
決して面白くなかったわけではないが、音羽屋ファンならともかく、また2,3年先に全く同じメンバーで再演されたら、観に行く気が起きるだろうか、と正直考えてしまった。
斯波主膳之助/獅子丸実は琵琶姫 尾 上 菊之助
織笛姫 中 村 時 蔵
右大弁安藤英竹 中 村 翫 雀
大篠左大臣 中 村 錦之助
麻阿 市 川 亀治郎
役人頭嵯應覚兵衛 坂 東 亀三郎
従者久利男 尾 上 松 也
海斗鳰兵衛 河原崎 権十郎
従者幡太 坂 東 秀 調
比叡庵五郎 市 川 團 蔵
舟長磯右衛門 市 川 段四郎
左大弁洞院鐘道 市 川 左團次
丸尾坊太夫/捨助 尾 上 菊五郎
千秋楽の昼の部を拝見。
初演から4年目、今年はロンドン公演も成功させての凱旋公演というところ。
菊之助、菊五郎を初め配役は前回と同じ。さすがにどの役者も役が手に入っていて、安心して観ていられる。
中でもやはり主演の菊之助は、一層美しさにも磨きがかかり、演技も琵琶姫から獅子丸へ、あるいはその反対の変化がさりげなく自然で上手い。
菊五郎も坊太夫での徹底したお馬鹿ぶりと、飄々とした捨助の演じ分けがこの人ならではの絶妙さ。
時蔵の織笛姫は正統派赤姫。だから何もおかしいことはやっていないのに、それ故に笑えてしまう可笑しさを大まじめにやっているのがこの人らしい。時蔵と錦之助が、周りに乗らずに至極まっとうに歌舞伎をやっているから、この作品が「歌舞伎」として通用しているのだと思う。
亀治郎の麻阿も相変わらずの弾けっぷり。コメディアンぶりに拍車がかかってるなあ。しかし、女形としての代表作がこれになっちゃっていいのか、亀ちゃん。
翫雀はロンドン公演用に仕込んだか、時々英語を交ぜて笑いを誘った。前の東京公演では確か「巨人の星」の花形満風、というド気障な仕草を見せていたが、今回はそれはなかったかな。やっぱり若い人にはわからないからやめたのかしら。
全体的に初演時より無駄も刈り込まれて、スピーディな展開。役者も三演目で演技も安定し、密度も上がった。
だが、観る方としては、初めての時こそ斬新なセットや音楽、歌舞伎にはないシェークスピアらしい台詞の新鮮さに驚き、感嘆したが、さすがに今回それはもうない。それどころか、理屈たらしい台詞の応酬がいささか退屈に感じられさえした。亀治郎の匍匐前進も、菊五郎の鬱金色の衣装も、やるのがわかって観ているとそれほどおかしくもない。
古典歌舞伎なら、次の台詞さえわかっていても、今日の役者がそれをどう言うか、を楽しみに観る。
でもこの作品にはまだそれほどの力はないのだろう。これがこの先、再演を重ねて、新しい歌舞伎のレパートリーになるためには、他の配役でも演じられる必要があるのだが、今のところそれは想像できないのが正直なところ。
決して面白くなかったわけではないが、音羽屋ファンならともかく、また2,3年先に全く同じメンバーで再演されたら、観に行く気が起きるだろうか、と正直考えてしまった。
私は2年前に見ました。そのときの筋書きがあったので、今、見たら
ほんと、全く同じ顔ぶれですね。
「麻阿」のはじけっぷり、思い出しました(笑)
幕が開いたときの蜷川演出、鏡を使った舞台に驚きましたが、もう一度
見ると、こういうのも驚かなくなるんでしょうね。歌舞伎の十八番の演目
とはやはり違うんだろうな、とmamiさんの記事を読みながら思いました。
by TaekoLovesParis (2009-07-04 22:07)
TaekoLovesParisさん、こんばんは。
お返事遅くなり済みませんでした。
2年前より、役者の腕なんかはもちろん上がっていたと思うんですが、その分こちらの期待度も上がってしまうのでしょうね。新作の再演というのは難しいものだと思いました。
でも亀ちゃんにはやっぱり笑えましたけど。
by mami (2009-07-06 23:44)