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新春浅草歌舞伎第二部 [舞台]

1月18日 浅草公会堂

第一部に引き続き観劇。
入れ替え時間に浅草寺にお参り。仲見世は日曜だけあってすごい人出で歩くのもやっと。やっとお寺にたどり着いて手を合わせても人に押されておちおちお願い事もしてられない。おみくじを引こうと思ったけど、お財布に百円玉がなくて諦めた(苦笑)。まあ、去年みたいにまた「凶」が出ても嫌だし、とか思って。

この日第二部のご挨拶は初参加の松也君。なんかね、素顔がとってもつるんとして綺麗なんですよ~。おばさんはちょっと見とれてしまいました(笑)。初めの真面目な挨拶が終わると、客席に降りて最前列のお客さんに「(浅草に出ている役者の中で)好みは誰ですか~?」と聞いて「松也!」と言われて素直に喜んでいました。可愛い。

一・一本刀土俵入
勘太郎の駒形茂兵衛、亀治郎のお蔦、男女蔵の波一里儀十、松也の辰三郎、亀鶴の根吉

勘三郎の茂兵衛は見たことがない。でも勘太郎のを見ていて、台詞廻しなどがお父さんそっくりだなあ、と思った。もちろん勘三郎に習ったんだろうから当たり前かもしれないけど。正直言うと、あんまり似て欲しくないんだなあ。この役はともかく、勘太郎には、歌舞伎の王道というか、正統派というか、そういう道を歩いて欲しいと生意気だけど思う。それができる素質のある人だと思うから。

その勘太郎の茂兵衛はいわば直球勝負。特に第一幕での朴訥として真っ直ぐな様子が良く出て立派。お相撲さんとしては体が細すぎるのは難だが(もうちょっと上半身だけでも着込むとかした方がいいかも)、寂しい境遇にも卑屈にならず、お蔦の親切に感激する純情な姿が涙を誘った。
第二幕でも渡世人とはいえ、船頭らに対する言葉遣いなどで律儀で真面目な様子がよく見え、一方で根吉らを叱りつけるところなどは大きさもありなかなか。お蔦らへの態度に誠実さがあふれて、幕切れの有名な台詞も真っ直ぐに聞かせて素直な感動を呼んで上々。

亀治郎のお蔦も、気の強い酌取り女の風情がうまく、茂兵衛への優しさも押しつけがましさのない自然さが出て、二人のやり取りに心暖まる思い。この人はやっぱり、お姫様なんかよりはこういう一癖ある役の方が向いているみたい。第二幕では娘や夫への愛情に満ちた様子が良く出て上々。

松也がここでも健闘して、ご挨拶で自分でも「今風に言えばダメ男」と言っていた辰三郎の、根は良いのについていない、情けない男の風情が良く出て、でもお蔦や娘を可愛いと思う様子も無理なく見せてなかなかの出来。

亀鶴が切れ者のやくざの雰囲気がうまい。
男女蔵の儀十は気の毒だが、いささか三枚目寄りすぎの感もあり。儀十よりいっそ弥八などやらせても面白かったのでは。
来年は、ぜひ短い演目でいいから、亀鶴と男女蔵に主役級をやらせてあげて欲しいなあ。

二・京鹿子娘道成寺
七之助の白拍子花子
最初の道行も、所化による「舞尽くし」もない少し短縮版。
七之助はこの頃どんどん綺麗になってきたと思う。この花子も品もあって美しく、踊りもさしたる破綻もなく踊り通してなかなか上等。
ただ何というか、ちょっと行儀が良すぎて、白拍子というよりどこかのいいとこのお嬢さんみたいなのはどうなんだろう。鐘に対する情念などもほとんどうかがえず、「鐘に恨みはいろいろ」あるようには見えず、色気もないから「恋の手習い」をしているようにもさっぱり見えない。要するに、花子は何をしにここへ来たのか、所化に踊りを見せるために来たんじゃないだろう、というところが全く伝わらないのだ。

この頃の七之助は、行儀良く小さくまとまりすぎている気がしてならない。歌舞伎座で大先輩達に混じっている時ならそれでも良いが、浅草歌舞伎のような舞台ではもう少し冒険してもいいんじゃないか。どのみち玉三郎や藤十郎のような道成寺が踊れるわけではないのだから、20代の今しか見せられない、もっと溌剌としたものを見せて欲しかった気がする。もっともお父さんや叔父さんのようにいつまでたっても羽目を外しているのもどうか、というところだが。



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