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ウィーン・フィル演奏会 [音楽]

9月18日 サントリーホール

ウィーンフィル.jpg
指揮:リッカルド・ムーティ
プログラム
 ヴェルディ:オペラ「ジョヴァンナ・ダルコ(ジャンヌ・ダルク)」序曲
 ヴェルディ:オペラ「シチリア島の夕べの祈り」からバレエ音楽「四季」
     休憩
 ニーノ・ロータ:トロンボーン協奏曲
          (ソロ:イアン・バウスフィールド)
 ニーノ・ロータ:交響的管弦楽組曲「山猫」

アンコール
 プッチーニ:オペラ「マノン・レスコー」より間奏曲


オーケストラは最近あまり聴かなくなってしまったのだが、ムーティがウィーン・フィルを振るとなれば行かずにはいられないでしょ。
スカラの監督をしていたときは、スカラ・フィルとも来てくれたが、今はそっちの線はなくなってしまったし。

プログラムは数種類準備されていたが、他ではブルックナーやチャイコフスキーなどが並ぶ中、この日のがある意味いちばんキワモノ的というか、ムーティらしくはあるがウィーン・フィルらしからぬ、とも言えそうな曲ばかり。スカラ・フィルとならともかく、ウィーン・フィルとやるか~、と言うような。
なにしろ配布されたプログラムに載っていた楽団長のコメントにも「初めて演奏する」曲、「取り上げたことのない作曲家(ロータのことだろう)」、とあるくらい。

さて、まず前半のヴェルディの2曲。端々にいかにもヴェルディ、と言う響きを聴かせながらも、正直言ってそれほど面白い曲とも思われなかった。特に「シチリア島」のバレエ音楽は現代、普段オペラを上演するときはカットされると言うくらいで、同じ「四季」と言ってもヴィヴァルディのもののような情景描写的な感じもしないので、4曲の違いがあまり感じられなくて、散漫に長く感じられてしまった。もちろん、演奏は素晴らしいのだが、あまり取り上げられないのも仕方ない曲だな、と言う感じ。

俄然面白かったのは後半のロータの2曲。
特に「トロンボーン協奏曲」は初めて聴いたが、美しいメロディーに溢れた中にも、特に第3楽章で時に覗かせるアゴーギグな雰囲気は一瞬ショスタコーヴィッチの音楽を連想させたりして、なかなかに刺激的だった。
ソリストのバウスフィールドはウィーン・フィルの首席奏者だがイギリス生まれ。以前はウィーン生まれでないとウィーン・フィルには入れないと言う不文律があったようにも聞くが、このグローバルな時代、ウィーン・フィルも外国人にも女性にも門を開いたと言うことだろう。さすがに美しいまろやかな音色と確かなテクニックで観客を魅了していた。

最後の「山猫」からの音楽は、有名な映画のために書かれた曲をもとに作られた組曲。映画自体は残念ながら見たことがないが、写真などで見たヴィスコンティ監督の豪華絢爛な映像にマッチしたドラマティックな音楽。
ウィーン・フィルが上手いのは当たり前だが、ここまで甘美でエモーショナルな表現をウィーン・フィルから引き出すムーティの求心力にはいまさらながら脱帽である。

アンコールにはムーティのコメント「もう一つの愛と死の物語」として「マノン・レスコー」のこれもまた心震わせる音楽を聴かせてくれた。

ムーティの指揮振りはいつもながら美しい。やたら振り回すのではないのに、盛り上げたり静めたりの表情付けが見ているだけでも手に取るようにわかる。お顔もいつまでも若くて素敵だけど、あの指揮姿が本当に格好良くて、惚れ惚れしてしまう。背中からフェロモン出てるもん。
来月はまたウィーン国立歌劇場と来日するが、オペラは見ないので行かない(高いしね)。
でも再来年のシーズンからシカゴ響の音楽監督になるらしいので、次はシカゴと来たときに聴きたいものだ。

ハプニングが一つ。
休憩後の1曲目を始めようと、オケの方に向き直ったマエストロ、「あれ」という感じで指揮棒を置いて、「ちょっとゴメン」という風に手を軽く挙げてもう一度裾に引っ込んでしまった。団員もソリストも観客も呆気にとられているとすぐに「これを忘れたんだ」という風に眼鏡を振りながら戻ってきたムーティ様、みんな大笑いでした。もう老眼鏡がないとスコアが読めないんだねえ。て言うか、さすがにこんな曲は覚えてないんだわ。でもとってもお茶目でした。
こんなハプニングがあると、スポーツ選手なら緊張が途切れてしまいそうだが、すぐになんにもなかったように演奏したムーティもオケもソリストも、さすがはプロだとも思いました。


ニーノ・ロータ映画音楽集

ニーノ・ロータ映画音楽集

  • アーティスト: ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団,ロータ,ムーティ(リカルド)
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 2000/11/01
  • メディア: CD




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コメント 2

palette

こんにちは!
ウィーンフィルがニーノロータをやるんだー、と興味深く読ませていただきました!「山猫」はちょっと思い出のある映画なのです。多分クライマックスの大舞踏会の場面で使われていた曲だと思います。クラシックコンサート、いいですね^^
by palette (2008-09-20 07:59) 

mami

paletteさん、こんばんは。
ウィーン・フィルのニーノ・ロータ、始まる前はどうなるのかと思いましたが、さすがに上手い人たちは何やっても上手いんですねぇ。
「山猫」組曲は、仰るとおりラスト・シーンの音楽からのようです。綺麗なメロディーで素敵な曲でした。
by mami (2008-09-20 23:04) 

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